第50話:【ヤクザ】
「……裕!」
「それじゃあ。生きてたら、またね」
リンが冷たく言い放つ。
アンナがハッとして拳銃をかまえるが、目の前でパッと消えた。巨人の能力だ。
炎の勢いが強い……!再生が間に合わない!このままだと消し炭になる……!
何より焼かれるってこんなに地獄なのか……!
「裕!……待ってて!」
アンナは叫びながら部屋を飛び出していく。
俺は悲鳴を上げながら地面を転がった。
しばらくもがいていると、内から込み上げる炎の勢いが無くなってきた頃。
「裕!」
アンナがどこからか持ってきた消化器を俺に吹きかける。
「ごほっ!ごほっ!アンナ……助かった……!まだ近くにいるはずだ……!」
「う、うん!」
屋敷の外を探したが、リンはいなかった。
どうしようかと屋敷で考えていると、ガタイのいいヤクザが入ってきた。
「お前らか? うちの組のもんに手を出したのは?」
凄い誤解をされた。
「い、いや、違う……」
「てめぇ! 許さねぇ!」
――ドゴンッ!!
衝突事故のような衝撃。
ヤクザの拳が俺の胸元にめり込み、俺の体は文字通り「飛んだ」。空中で一回転して床に叩きつけられる。
「ちょ、ちょっと待ったぁ! 私たちじゃない! 警察だよ!」
アンナが身分証を掲げるが、ヤクザは止まらない。
「サツが何の用だぁ!」
アンナは間一髪で飛び退き、壁にクレーターができる。なんだこの人? 人間じゃない!
今度は俺の方に向かって大きく振りかぶって殴りつけてきた。躱しながら脇固め……をキメたかったのだが。
(う、動かない……!)
腕力で耐えられた。
そのままヤクザは俺ごと腕を振り回す。
俺は地面と平行に飛ばされ、壁に背中を打ち付けた。
「がはっ!」
そのまま体当たりしてきたが、跳び箱の要領で飛び越えた。また壁に大きな穴があく。
そのまま後ろに飛びつき、チョークスリーパー。
「ぐぅぅぅ〜! 落ちろぉ〜!」
全力で締め上げると、ヤクザはようやく大人しくなった。
「はぁ、はぁ、な、なんだこの人……」
「……親分の仲良恵だよ」
アンナが肩で息をしながら答えた。
「野生のイノシシより凶暴なんじゃないか? 縛っとこうぜ。起きたら説明しよう」




