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第49話:【発火】


 S区に着き、聞き込みを開始した。

「S区のヤクザと言えば、めちゃくちゃデカいんだろ?」

「うん、S区は全部ヤクザのシマだよ。警察も迂闊に手出しできないくらいなんだから」


「そんなにヤバいんだ」

「特にここの『仲良なかよし組』は超武闘派なの」


「えー、名前可愛い……」

 そんな余裕のある冗談を言っていられたのも、そこまでだった。



 仲良組の屋敷に辿り着いた瞬間、異様な光景が目に飛び込んできた。

「人が倒れてる! 酷い……身体中ズタズタだ……」


「アンナ、突入しよう!」

「うん!」

 門を潜り、屋敷の中へ駆け込む。そこはまさに死屍累々。屈強なヤクザたちが、紙屑のように無残に転がっていた。


 俺とアンナがさらに屋敷の奥へと踏み込むと、ついに奴がいた。――リンだ。


 傍らにはあの瞬間移動の巨人も控えている。


 そして、もう一人。サングラスをかけた、奇妙な存在感を放つ男が立っていた。

「あら、奇遇ね」

「手を上げろ! リン!」

 俺はショットガンを構え、叫ぶ。


「陽平。」

 リンが静かに告げると、陽平と呼ばれた男はゆっくりとサングラスを外した。

 ふと、彼と目が合った。その瞳は驚くほど穏やかで、優しそうに見えた。


 ――直後。

 全身を焼き尽くす、暴力的なまでの熱波が俺を包み込む。

「え?!裕!!」

 視界が瞬時に赤く染まり、喉が焼けて息が吸えない。


「ぎゃああああ!!」

 人体発火。

 皮膚の下から、身体の内部から、直接火を放たれているような地獄。ナノマシンが必死に再生を試みるが、焼失の速度がそれを上回る。

(これが、こいつの能力……! 目を合わせるだけで、殺される……!)

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