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第48話:【闇医者】


 気づけば俺は病室にいた。


 ぼんやりとした視界の端で、アンナが椅子に座って漫画を読みながらケラケラと笑っているのが見えた。

「おい……少しは心配するなりしろよ」

「あ! 裕! 気づいたね。はい、これ何本に見える?」


 アンナが目の前で指を4本立てた。

「小さくて見えない」

 俺は目を細めて答えた。

「小さいって言うな! ……まぁ、減らず口が叩けるなら大丈夫だね!」

 アンナはちょっと怒りながらも、安心したように笑った。


「ここ、どう見ても病院だよな。……腹減った」

「うん、B区の病院。ごめんね、あの女、逃がしちゃった」

 アンナが少し申し訳なさそうに視線を落とす。


「仕方ないさ。あいつ、強すぎたよ。追っ払っただけでも勝ちだ。右手を吹っ飛ばしてくれたんだろ? ナイスショット」

「根性出して狙撃しようとしたら、裕が足に噛み付いてるんだもん! 執念が気持ち悪かった!」

「気持ち悪いって言うな!どれぐらい寝てた?」


「3日だって。体はどう? 治った?」

「うん。もう動ける」


「じゃあ退院しよー! 病院食より外で美味しいもの食べたい!」

「焼肉にしない? あの女の肉片を見てたら、無性に肉が食いたくなってきた」


 俺がキツイ冗談を飛ばすと、アンナは顔をしかめた。

「これから焼肉食べようとしてるのに、なんで食欲なくすようなこと言うの! 悪趣味!」



 焼肉屋でカルビを頬張っていると、高槻から連絡が入った。

『意識は戻ったようだね。B区の騒ぎは囮だったようだ。混乱に乗じて一味は銀行を襲っていたらしい』

「オリジナルの右手吹っ飛ばしたので、病院に行ってないか、調べてみます」


『そうか、恐らく表の医者にはかからないだろう。闇医者を調べてくれ』

「わかりました。すぐ向かいます」


「アンナ、闇医者ってどこにあるの? K区の闇医者しか俺知らないから、あの先生に聞いてみるか?」

「んー、あの闇医者はボスの息がかかってるから、そこには行かないと思う。詳しくないけどS区にヤクザの闇医者があったはずだよ」


 次の目的地が決まった。


 上手くいけば、治療中の奴を叩ける。

 でもS区のヤクザか……物凄く大きな組織だから怖いよなぁ。

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