第41話:【勧誘】
ミナの事件が終わったあと、何とも言えない後味の悪さを抱えながら、俺とアンナは日常に戻っていった。少しずつ、少しずつ……
◇
数週間経った、昼のファミレス。
多くの家族連れで賑わい、子供が走り回っていた。
「……で、そこで雪崩式ブレーンバスターを決めたあとでね。」
「雪崩式?もー、いつもプロレスの話ばっか!」
俺はアンナと昨日のプロレスの話をしていた時に、その『女』は静かに。気配もなく現れた。
「相席いいかしら?」
「え?あ、はい。どうぞ」
サングラスを取ると、見た事があった。
ーー女リーダーだ!
「お前は!!」
俺とアンナは反射的に拳銃に手が伸びる。
「やめておいた方がいいわ。張が遺した爆弾がまだあるわ」
そう言って、起爆スイッチを見せた
「とりあえず座りなさい」
「……くっ。」
俺は拳銃から手を離し座った
店員がオーダーを聞きに来る
「コーヒー。ブラックで」
その声は不思議なほど落ち着いていた。
「裕とアンナね?」
「なんでこんな所にいるんだ……?」
「ミナを殺したわね?」
「……彼女が望んだんだ…」
「オリジナルの話は知ってるわね?」
「……知ってる」
「そう、私の目的は表向きは世直しのため。最近治安も良くなってきたでしょう?」
確かに最近政権が代わり治安は少し回復してきていた。
「表向き?」
「本来の目的はオリジナルの解放よ。」
「お前もオリジナルか?」
「さあね」
「解放してどうする?戦争でも起こすのか?」
「それもいいわね。」
「裕!逮捕しよう!」
「やめた方がいいって言わなかったかしら?」
「…アンナ、よせ」
「賢明ね」
「お前はナノマシン兵か?」
「どうかしらね」
そう言ってコーヒーに口をつけた
「なんで俺たちの前に現れた?」
「そうね。私たちの仲間がたくさんやられたから、補充よ。私と組まない?」
「断る。テロリストに加担しない」
「そっちの貴女は?」
「私も加担しない!」
「……そう。やっぱり『出来損ない』ね。弱点だらけの欠陥品だわ。少しは自分で考えたらどう?」
「出来損ないだと」
「ええ、オリジナルに到底及ばない出来損ないよ。じゃあ私は帰るから10分はこの店にいてもらおうかしら、もし10分以内にここから出たら爆破するわ。」
そう言うと女は立ち上がった
「待て!……名前ぐらいは答えてもいいだろ?」
「そうね……リンとでも名乗ろうかしら」
それじゃあ、と女リーダー…いや、リンは店から出た。
なんてプレッシャーだ。冷や汗が止まらない。
「裕、いいの?」
「うん、博士に爆弾処理班を送って貰えるように頼んでおいて、俺は捜査班にこのことを伝えてやつを確保してもらう」
爆弾処理班が来たが爆弾は仕掛けられていなかった。
ただ、実際仕掛けていてもおかしくない……そう思わせる凄みが、彼女にはあった。




