第38話:【実験兵器】
武器を渡すと連れてこられたのは、武器庫でも研究室でもなく、地下駐車場だった。
「駐車場? 武器じゃないんですか?」
「ああ、武器だ。レールガン(超電磁砲)なんだが、構造上小型化が難しくてね。辛うじて車両サイズにできたんだよ。威力は折り紙つきだ」
そこには、無骨な装甲車のような車両の荷台に、巨大な砲身を据え付けた異様な兵器が鎮座していた。
「これがレールガン? 私がいつも使ってる狙撃銃よりずっと大きい。それに、なんか太いコードが付いてるよ」
アンナが驚きを隠せずに砲身をなぞる。
「ああ、やたらと電気を食うからね。車載バッテリーだけでは心許ない。これでダメだったら、いよいよ人類の手には負えないな」
巨大な殺戮兵器を前にして、俺のうしろめたい感情が広がる。
「博士。あの実験体の子……説得できないですか?」
「無理だろうね。能力を引き出すために軍が薬漬けにしていたから。実験体に自我が残っていることすら怪しい」
薬漬け。自我が残らない。そんな言葉が重くのしかかる。
「そう……ですか。でも、一度だけ試させてもらえませんか?」
「う、うん。私も……正直、あんな小さい子を撃ちたくないかも」
アンナも俺に同意するように、不安げに頷いた。
「……わかった、いいよ。やってみたまえ。ただし決裂したら合図を送りなさい。その時はアンナくん、君がレールガンを撃つんだ」
「ありがとうございます」
「では、行くか」
「場所、わかるんですか?」
「ああ。実験体に何があってもいいように発信機が埋め込まれている。追跡しよう」
(発信機まで……)
発信機を調べると、実験体は驚くべき速度で移動し、すでに隣のN県まで到達していることがわかった。俺たちは例の特殊車両に乗り込み、北へと向かった。




