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第37話:【オリジナル】


 研究所に戻ると、高槻博士が瓦礫の中で淡々と事後処理を進めていた。


「二人とも、よく戻ったね」

「戻れたのは奇跡ですよ。……あの子、飛んで行っちゃいました。散々弄ばれました」

「怖かった……」

 アンナはまだ肩を震わせている。俺の腕はようやく指先まで形を成したが、まだ感覚が鈍い。


「博士……あの子はナノマシン兵なんですか?」

「いや、人間だ。ただ、超能力を持っていてね。それを研究していたんだ。急に超能力が強大になって……。最近は大人しかったから油断していたよ」


「弾丸は全部弾かれました。あんなの、どうしようもない」

「普通の……人間?」


「普通とは違うな。『超人』というやつだよ。世の中には人知を超えた能力を持つ者が極稀にいてね。それを研究して、人為的に再現しようとしたのがナノマシン兵だ。つまり、彼女たちは『オリジナル』なのさ」


「超人……?」俺は聞き返した。

「ああ。ナノマシン兵には色んなタイプがいるだろう?」


「基本は不死身で、俺は再生特化。アンナは狙撃特化……」

「それは超人たちの特性をモデルにしているんだよ。基本の不死身さは、高密度のナノマシンを維持するための副産物のようなものだ」


「でも、テロリストやワンにはそんな特性はなかったよ」

 アンナの問いに、博士は冷淡に答える。


「それは旧式だからだよ。、あるいは中国がそこまでの技術を有していなかったか。君たちはそれらとは一線を画す最新型なんだ」

「つまり……俺たちにも、モデルになったオリジナルがいるってことですか?」


「その通りだ。ここに君たちのオリジナルはいないがね」

「あの実験体の少女も、ずっと研究されてたんですか?」


「ああ。軍での研究が行き詰まったらしくてね。ナノマシン技術の第一人者である私の元へ回ってきたわけだ」


 人体実験――。俺の脳裏にその言葉が浮かぶ。


 あの幼い少女がどんな地獄を見てきたのか。俺は実験体に同情すると同時に、軍や目の前の高槻博士に対して、拭いきれない強い不信感を抱いた。俺たちも、結局は同じ「道具」でしかないのだ。


「ともかく、正面からの攻撃は無理だね。実験段階の武器をあげよう。それを使って、意識外からの狙撃で倒してくれ」

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