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第33話:【お見舞い】


今日は休暇だ。アンナと二人で食事中、俺は思いついたまま言った。

「この後、葵のお見舞い行こーぜー」

「あ! いいねー! 行こ行こ!」



 警察関連の病院。個室に入ると、葵はベッドの上で分厚い書類に目を通していた。

「足の怪我どう? 治った?」

「……まだ治ってないに決まってるでしょ。抜糸もまだよ。いいわね貴方は、すぐ再生するから」

 相変わらずのトゲがある物言い。でも、顔色は悪くなさそうだ。


「なんだよー、怒ってるのか?」

「……なんでお見舞いの品が1000mlの牛乳なのよ。しかも紙パックのまま」

 牛乳は嫌いだったのかな? 次はコーヒー牛乳にしよう。


「……次、コーヒー牛乳だったら対ナノマシン弾ぶち込んでやるわ」

 先回りされてしまった。

「ところで、アキラは来たの?」

 俺が尋ねると、葵は少しだけ表情を和らげた。


「ええ、前線へ行く直前までは来てくれたわ」

 少しだけ寂しそうだ。強気な葵でも、やっぱり相棒が遠くの戦地へ行くのは堪えるんだろう。


「アキラ、相棒だもんな。こういう時に傍に居られないのってキツイよな」

「ええ、心配よ。彼の事だから無茶はしないだろうけど……」

「この人は無茶するよー! バカだから!」

 おい、ちんちくりん。一言多くない?


 俺は気になっていたことを聞いてみた。

「日本軍にナノマシン兵っているの?」

「ええ、元々軍の技術よ。それぞれ得意分野を持たされているわ。でも、再生特化は珍しいわね」


「俺って珍しいのか」

「ええ、かなり。聞いたことなかったもの。恐らく実験段階か最新のタイプよ」

 だから高槻博士はあんなにしつこく採血したがるのか。

「私、採血なんてたまにしかやらないもん」

 アンナの言葉に、俺の特別扱い(実験動物扱い)が浮き彫りになる。


「ところで、女リーダーは見つかったの?」

「いや、今は雲隠れしてるよ。情報も全くないみたいだ」


「不気味ね。相当食えないやつだわ。……怪我が治ったら、あなた達に合流できるよう頼んでみるわ」

「アキラの方じゃなくていいのか?」


「彼なら大丈夫よ。それにこの怪我じゃ、あっちの戦線では足を引っ張っちゃうものね」


 葵は自嘲気味に笑った。

「……それまで、死なないでおきなさいよ、二人とも」

葵は高槻みたいなトカゲ野郎と違って血の通った人間だな。

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