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第24話:【食欲】


「葵が抜けたのは痛いな……」

 アキラが珍しく深く考え込んでいた。


「アキラ、葵がいなくて大丈夫なの? 相棒でしょ?」

 アンナも心配そうに尋ねる


「ああ、葵なら心配ない。傷が塞がればすぐに復帰するだろう」

アキラの言葉でナノマシン兵じゃないけど、葵ならなんか大丈夫な気がしてきた。


「ふむ。確かに葵くんが抜けた穴は大きいが、アキラくんが冷静で助かるよ。どこかの誰かさんは、相棒がいないだけでポンコツになったからね」

 高槻がトゲのある視線を俺に向けてくる。

(……そこまで言わなくてもいいじゃん。この冷血トカゲ野郎)


「だが、手強い幹部を一人始末できたのは大きい。あとはリーダーの女と、問題のワンだな」

「博士、何か手がかりは見つかりましたか?」


「今、張がいた雑居ビルを徹底的に洗っている。何かわかればすぐに伝えるよ」

「この間に、葵が復活するといいね!」

 アンナの明るい声に、少しだけ場が和む。俺は気になっていたことを聞いた。


「博士、また軍から応援は呼べないんですか?」

「要請はしてみるが難しいだろう。近隣諸国との緊張が高まっていてね。近いうちに戦争が起きそうだ。そうなれば、アキラくんも本隊に戻されてしまうかもしれない」


「……そうですか」


 高槻の懸念は的中した。

 数日後、アキラに軍から帰還命令が下り、彼は最前線へと向かってしまった。

不安よりいつもいる喫煙所にアキラがいないのが何より寂しかった。



「裕ぁ、また二人になっちゃったね」

 寮の居間で、アンナがぽつりと呟いた。

「そうだね。これからって時に……」


「とりあえず、ご飯行こ!」

「あ! そういえば腹減った! なんか改造されてから、すぐお腹が減るんだよね」


「当たり前じゃん。再生するのにエネルギーがないと無理だもん!」

「あ、それで減るのか。そういやアンナもよく食べるもんな」

 意外なところでナノマシン兵の仕組みを知り、俺たちは食堂へ向かった。



 食事中、無機質な無線の音が鳴り響く。

『二人とも、すぐに来てくれ。リーダーの潜伏先が判明した』

「あー、飯の途中だったのに……」

カツ丼まだ半分しか食べてないのに

「食べてから行こーよ、裕!」

名案!


「そうだな。これも再生するためだ」

「そうそう! 再生するため!」

 俺たちは普通にカツ丼を味わってから向かった。



「来たね。状況が変わった。女リーダーは仲間を引き連れ、日本軍の武器庫を襲撃した。最新装備がごっそり盗まれている。十分に警戒してくれ」

 高槻の言葉に、俺は思わず声を上げた。

「げ! そんな大胆なことしてるんですか?」

「日本軍の武器庫といえば、その辺の警備は厳重なはずなのに」


「恐らく、我々に武器工場を押さえられたからだろう。なりふり構わず大きな事件を起こすつもりかもしれない。急いで向かってくれ。場所はK区の廃工場だ」

 アキラも葵もいない。俺とアンナ、二人きりの戦場がまた始まろうとしていた。

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