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第19話:【不調】


後日、徒手の訓練。


俺の状態はといえば、ひどい有様だった。


「ぐはっ!」

強烈な衝撃と共に、俺はアキラに地面へと叩きつけられた。受け身もまともに取れていない。痛い。


『それまで。裕くん、どうした? 注意力が欠けているぞ』

「……はい」

高槻の冷静な指摘が胸に刺さる。爬虫類の癖に

「次は葵くんとだ」



「ぐえっ!」

今度は葵にあっさりと背後を取られ、抗う間もなく首を絞められ、落とされそうになる。俺はたまらずタップして降参した。

『もういい。今日は休みなさい』

「……はい」

高槻から呆れられながらストップがかかる


自分でも驚くほどのスランプだった。



(アンナがいないと、こうも調子が出ないんだ。頼り切ってたなぁ)

ぼんやりと考えていると、「……以上だ。では向かうとしよう」という高槻博士の声が聞こえた。いつの間にかブリーフィングが終わっていたらしい。


「あ、すみません。よく聞いてませんでした……」

最近、てか、アンナが謹慎になってから指示の内容が右から左へ抜けていく。


「……K市で、リーダーを探す。」

アキラが呆れたように任務を伝える。

「あ! あ、行きますか!」

慌てて腰を上げた俺に、葵の冷たい制止の声が飛んだ。

「あなたはここで待機よ」


「え、俺だけ?」

「そうだ。君はアンナくんが謹慎している間は待機だ。訓練も酷い成績だしね。個人で射撃訓練でもやってなさい」


「すみません……」

葵は俺の肩をポンと叩き、「頭を冷やすのね」と一言。

アキラに至っては無言でスルーだ。

……みんな、冷たい。



射撃場。


乾いた発砲音が響くが、電子標的の数字は見るに耐えない。

「ダメだ、全然当たらない……」


何をするにもアンナが気になって集中できない。


五感に膜が張っているような、世界から切り離されたような感覚。何をやっても上手くいかない。


「……アンナに会いに行こうかな」

初日、アンナの様子を見に行って高槻にチクチクいやらしく責められたが、今は誰もいない。バレなければどうということはない、はず。



アンナの部屋に辿り着き、扉をノックした。

「アンナー」

扉はすぐに開いた。


「裕? 訓練は?」

「いや、それがさ。超絶スランプで任務も置いていかれちゃったよ」


「調子でないの? ……対ナノマシン弾のせい?」

アンナが心配そうに俺の顔を覗き込む。


「アンナがいないと調子狂う。早く謹慎終われよー」


「ごめんね、私があんなことしたせいで、迷惑かけて……」

今にも泣き出しそうな顔でアンナが俯く。

「いやいやいや、違う違う! 謝ることないよ! 駆けつけてくれて嬉しかったんだから」

アンナが泣きそうになって焦った。


「でも……」

会話までスランプだ。かえってアンナを追い詰めている気がする。励ましたいのになぁ


「なんかもっと、こう……カッコよく決めたかったんだけどな。上手くいかないもんだな。気の利いた事も言えないわ」

自嘲気味に言うと、アンナは「うん……」と元気なく返した。


「アンナってスランプとかあるのか? 標的外したところなんて見たことないけど」

「うーん、ここ最近はないかな。ちっちゃい頃はあったけどね!」


「今だってちっちゃいじゃん」

俺が笑ってからかうと、

「子供の頃!」

って、怒った。落ち込んでいるよりはマシだ。


「待ってるからさ。」

俺がそう言うと、アンナは優しく微笑んだ。

なんだよ、いい笑顔するじゃん。

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