第18話:【相棒】
アンナは今日から七日間の自室謹慎。
いつもなら「裕、遊ぼー!」と元気なはずの彼女が、肩を落としてトボトボと自室へ消えていく。その背中は、いつもに増して小さく見えた。
「アンナ……」
「命令違反を放置すれば、士気に関わる。七日間の自室謹慎で済んだのは、高槻博士のせめてもの温情だよ」
アキラが隣で淡々と告げる。
「でも、あの高槻が、温情ねぇ……」
爬虫類みたいな冷血人間の癖に
◇
自室のベッドに座り、アンナはぼんやりと天井を見上げていた。
初めての、明確な命令違反。
私のせいでリーダー逃がしちゃった。
(私、何やってるんだろ……)
いつもなら、隣で誰が死んでも持ち場を離れることなんてなかった。兵器として育てられた自分にとって、命令は絶対のはずだったのに。
それでも。
「……裕が、無事でよかった」
ぽつりとこぼれた本音。
安堵が疲れを呼び込み、いつの間にか眠りに落ちていた。
夢を見た。
また、あの地獄の夢だ。
さっきまで笑い合っていた友達が、砲弾を受けてバラバラになる。
異常な視力のせいで、見たくもないものまで鮮明に見えてしまう。
夢の場面が切り替わる。今日の任務だ。
『裕が撃たれたわ! 』
葵の鬼気迫る無線が頭の中に響き渡る。
『血が止まらないわ!』
私は走る。何度も躓き、泥を舐めても、必死に走る。
けれど、走っても走っても、裕のところへ辿り着かない。
(裕! 裕――!!)
「はっ……!」
飛び起きると、頬が涙で濡れていた。
暗い部屋、静寂。心臓の鼓動だけがやけに大きく聞こえる。
コンコン、と控えめなノックの音がした。
「アンナー」
聞き慣れた、少し気の抜けた声。
扉を開けると、そこには二つのカップ麺を両手に持った裕が立っていた。
「一緒に食おうぜー」
時計を見れば、もう夜のいい時間だ。
そういえば、お腹空いた。
「……うん!」




