第14話:【異変】
2階へ踏み込むと、通路にはライフルを構えた見張りが立っていた。
(対ナノマシン弾か?)
拳銃のグリップを握り直したその瞬間、天井から音もなく葵が舞い降りた。彼女は一人の首を鮮やかに掻き切ると、再び吸い込まれるように天井裏へと消えた。
ニンジャ!
「私が片付けるわ」
通信機から聞こえる葵の冷徹な声。彼女は闇に紛れ、一人、また一人と確実に息の根を止めていく。音もなく。なんか可哀想なぐらい抵抗してなかった。
彼女に背後を任せ、最奥の部屋へと歩を進めた。
扉の前に立つ。……耳を澄ますと、中に6人ほど?幹部か?リーダーは?女の声がしない
ドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。――鍵がかかっている。
念の為、普通にドアをノックした。
トイレのドアをノックするかのように自然に
「誰だ!」
ここでなんか言うと撃たれるのは学習済みだ。
中から幹部の怒鳴り声が響く。俺は開いた瞬間に撃ち抜くべく、拳銃を構えて集中した。汗が目に入りそうになるが、瞬きすら惜しい。
痺れを切らした幹部が扉を開けた瞬間、正確にヘッドショットを見舞った。猛反撃を予期し、すぐさま天井裏へと跳ね上がる。
案の定、直後には扉を粉砕するほどの銃弾の嵐が巻き起こった。
「……なんであんたまでここに来るのよ」
天井裏で鉢合わせた葵が、小声で不満を漏らす。
様子を見に来たもう一人の喉を葵が切り裂いた。
「幹部二人目ね」
「あと4人ほどいる」
「なんで分かるの?」
「話し声だよ。多分だけど」
二人は同時に天井を突き破り、室内へ急襲をかけた。
俺はナイフで一人を仕留め、続けざまに拳銃でもう一人を射殺する。葵も天井からの落下速度を利用して一人の命を奪った。
残るは、最後の一人。
だが、その男はすでにライフルの銃口をこちらに向けていた。
――ターーーンッ!
強烈な衝撃と共に、俺の体は後ろへ吹き飛んだ。
男がトドメを刺そうと近づいて来るが、葵が即座にそのこめかみを撃ち抜く。
制圧完了。……のはずだった。
(……あれ? おかしいぞ)
「体が……動かない……」
と声を出そうとしたが胸の痛みと共に、口の中が鉄くさい味でいっぱいになった。息が吸えない。
「ごほっ……っ!うぇっ!!」
俺は激しく吐血した。




