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「それじゃあ、私は祭りの日までどこかで時間を潰してるよ」
烏色は僕らを蜘蛛の上に放ると、そのままどこかへ飛び立っていった。
「全く、身勝手な人ですね」
腰を擦るフウロ、僕はサキに立ち上がると、フウロの手を取って起き上がらせた。
セロもヘッダたちもまだ忙しそうだったので、僕はまた小屋に戻ることにした。
おそらくまだサルビアは居るだろうし、二人は歳も近そうだ。きっと仲良くなれるだろうとの魂胆だった。
「ただいまー」
「んぅ?」
扉を開けると、ツキに寄り添うようにしてサルビアがこちらを見ていた。
先ほどまで寝ていたのだろう。眠気眼をこすりながら僕を見て、そのまま僕の横に立つフウロへとその視線を移し、止まった。
「タイヨウ。その女は?」
「女って、この子はフウロ。さっき来たんだよ。サルビアと同じ招待客。彼女にも以前助けてもらったんだよ」
「えっと、フウロです……」
サルビアの威嚇に、フウロは僕の服の袖をつかみ、背後に隠れてしまう。
「ふんっそれで、なんでその女はどうするの?」
そしてそれを見て、また眉間にしわを寄せるサルビア。相性は最悪だった。
「まぁまぁ、とりあえずは祭りの日までは一緒かな」
「はぁ……そうですか」
明らかに不機嫌だ。もしかして、あまり同年代の女の子と会話したこと無いから、緊張しているのだろうか。
「せっかくだし、三人でどこか出かけない? っといっても、海くらいしかないんだけど」
せっかくの機会だ。二人にも仲良くなってもらおう。
僕は、若干まだふてくされたままのサルビアの手を取って、小屋から出た。
「ちょっと、海って、下?」
「そう、いいでしょ」
「水着とか、ないんですけど……」
「見るだけでも楽しいよ!」
困惑する二人の手を引いて蜘蛛の上を走る。僕はいつの間にか修理されていたエレベータに乗って、地上に降りた。
海は、泳げるほどにはきれいだが、僕は中に入るより、見ているほうが好きだった。
僕たちは砂浜に座って、海を眺めている。場所は、セウストから瓶をもらい、彼のクローン体に渡した砂浜だ。そういえば、いつの間にか、彼のクローンは居なくなっていたが、なにかあったのだろうか。
夕日を反射して、オレンジに光る海。波の音だけが砂を引き寄せ、リズムを鳴らしていた。
「どう?」
「まぁ、きれいね」
「はい! とってもいい景色です!」
ふたりとも、変にあった緊張も解けてきたのか表情が和らいできた。
「せっかく、出会ったんだし、僕的には仲良くしてほしいな」
「……そうね。すこし冷たかったわ。ごめん」
「ううん。こっちこそごめんね」
僕はまだぎこちないながらも、手を取り合う二人を腕を組みながら見て頷いていた。




