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「なんでって、招待状来たから!」
笑顔で彼女が見せてきたのは、確かに僕が送った招待状だ。
彼女と最後に別れたのはアバロンだ。まさかまた会うとは、思っていなかった。
「にしたって早くない?」
招待状に書いた日付は、今から一週間は後だ。今来ても祭りはおろか、設営すら途中だろう。
「まだほとんど出来てないと思うけど」
「何言ってんだよ。だからだろ?」
僕はサルビアにつられるがまま、小屋を出た。ツキも来るかと思ったが、部屋の隅でとぐろを巻いていた。まだ疲れが取れていないのだろう。
「これは――」
外に出ると、セロの指示するロボットに加えて、重機が何台も作業に参加していた。その中にはヘッダとクラトスの姿もあった。
「仲間に伝えたらよ、みんな手伝ってくれるってさ」
「そんな、悪いよ」
「前に俺たちの依頼も手伝ってくれたんだろ? そのお礼だって! 気にするな!」
僕の背中を強く叩くサルビア。まさか助っ人が来てくれるとは。
「おはようございます。タイヨウ様」
「おはようセロ。作業はどう?」
「彼らが来てくれとおかげでだいぶ順調です」
「そっか、良かった。あんまり無茶はしないでね」
僕はセロとの会話も早々に、サルビアの相手をすることになった。
僕が起きるまでは手伝いをしていたらしいが、こちらで遊んでくるように言われたらしい。
僕の相手をするのが仕事といったところだろうか。
「ねぇ! これはなに?」
サルビアがそれを不快に思っていなさそうなのが、唯一の救いだ。
しかし、僕もこの蜘蛛のことは詳しくない。小屋の奥にある管制室のディスプレイを、輝かんばかりの眼で指さす彼女。
「さぁ、なんだろうねぇ」
と、僕は無難な返事をするしかない。
昨日の深夜にでもセロが別の場所へ移したのか、管制室に置かれていた骸骨はなくなっており、からっぽの椅子だけが残っていた。
僕には格好いいなぁくらいの感想しか湧かないこの部屋だが、サルビアにとっては違うらしく、部屋の小物一つとっても、何度もうなずいたり、黄色い悲鳴を上げながら触っていた。
「そんなになる?」
「なるよ! これとか、すごいんだよ!」
彼女が見せてきたのは、宙に浮かぶ四角形の置物。空中で一定の速度で回転しており、少し発光している。一見少しおしゃれな小物に見えるが、すごいらしい。
「そうなんだね」
サルビアはまだまだここで過ごせるように見えるが、僕はもう飽きていた。僕はサルビアにバレないよう、こっそりと部屋を抜けだした。




