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「はい、確かに」
セロは僕から手紙を受け取ると、それら一枚一枚を確認しながら別の蝙蝠たちへと渡していく。蝙蝠は手紙を受け取ると、すぐ空を飛んで行ってしまった。
「大丈夫なんですか?」
僕が手紙に書いたのは招待文と、相手の名前だけ。住所などの所在が分かるものは一切書いていなかった。
僕が聞いてみても、セロは大丈夫というのみで、僕は本当に届くのだろうかと、不審に思いながらも、その日は話を終えて小屋の中で眠りについた。
その日、僕が寝てからもセロはずっと一人で動いていた。僕が寝ていたのは小屋から入ってすぐ。セロのマスターである白骨死体と同じ部屋で寝る勇気はなかったからだ。
僕は時折目が覚めたが、部屋にセロが入って来た様子はなく、外からはあの犬や蝙蝠に似たロボットが動く音が絶えず聞こえていた。
なんだか、もう一度眠りにつく気にはなれなくて、僕は小屋から外に出た。
外はやはりまだ暗くて、空に浮かんだ衛星だけが、黄色く光っていた。ツキは室内で寝ていた。これまではどんな時もそばに居たけれど、あの日以来、僕とツキの関係は変わった。
外で支持を出していたセロが僕に気づくと、駆け寄ってくる。
「どうされましたか? なにかありました?」
僕は小さく首を横に振った。
「なんだか寝れないだけ。ねぇここで見ててもいい?」
「えぇ、ですがあまり遅くならないようにしてくださいね」
僕は犬型ロボットから椅子を受け取ると、そこに座って暗闇の中で動くロボットたちを眺めた。
「楽しいですか?」
指示出しは終わったのか、僕の横に立つセロ。ほとんど何も見えない暗闇だが、ロボットの足取りに迷いはない。
「うん」
深夜の闇は、隣のセロすらもぼやけさせて、僕はロボットの動く音だけが響く中で静かにその音を聞いていた。
「明日も早いんですから、そろそろ寝ましょう」
しばらくすると、うつらうつらとしてきて、僕はお姫様抱っこをされる形で部屋に連れ戻されてしまった。
「まだ……」
起きようと、目を開けようとするけど、布団を掛けられるだけでより強い睡魔が襲ってきて、僕はじんわりと暖かくなっていく布団の中で意識を深く眠りにつかせた。
翌朝、腹部に受けた強い衝撃とともに、僕は目覚めた。
殴られたのかと思うほどの鈍い衝撃に眼を開いた僕だったが、そこに居たのは予想外の人だった。
「おはよう!」
「……サルビア? どうしてここに?」
僕の上にまたがっていたのは、赤毛の少女サルビアだった。




