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「こ、これ! 一体どこで!?」
タイヨウは画面を食い入るように乗り出して、蘭に聞いた。
「えっと、ここの裏手のゴミ箱だよ。確か、一週間くらい前かな。こっちに気づいたらすぐどこか行っちゃったけど」
顎に手を当て、思い出す蘭。一週間前では、もういないだろうがい、タイヨウは一応現場を見に行くことにした。
店のすぐ横の路地裏。奥は行き止まりでほかの場所と同じ暗さのはずなのに、そこは少しだけじめっとしているような気がした。
「そこそこ、そのゴミ箱の上」
画面と照らし合わせた場所には、確かにゴミ箱があった。
タイヨウはゴミ箱に近づく。当然ぬえはいない。生ごみの嫌な臭いが若干漂う。
蓋を開けると、その臭いはより強くなる。中にはゴミばかりで、めぼしいものはない。
蓋を閉め、周囲をぐるりと見ると、ごみ箱と通路の間に何か光ったものが落ちていた。
それはロザリオだった。
チェーンのネックレスの先に付いた手のひらサイズのロザリオは、錆びついているのか、黒と茶色に、若干の紅が入った色をしていた。
「これ、誰かの落とし物ですか?」
「ロザリオ? そんなもの付ける人、この町にはいないんじゃない?」
「そうなんですか?」
「うん。この町では禁止はされてないけど、まぁあんまり歓迎はされないかな」
ロザリオが歓迎されない? やっぱり夜の街だから、聖なるものはNGとか、有るのだろうか。
となればこれはぬえの手掛かりの可能性が高そうだ。
タイヨウはロザリオを鞄に仕舞った。
結局、手掛かりらしきものは他にはなく、その日は夜まで時間をつぶしがてら街を散策することにした。
お酒を飲めない身としては、この町で楽しめそうなことは少ない。
「セロは気になるお店ある?」
「そうですね……あのお店なんて、どうでしょうか」
セロが指さしたのは普通の食堂。
どこの町にでもありそうな食堂といった風貌で、手作りの気でできた看板が温かみある。
しかし、そんな風貌はこのネオンしか光源のない町では、異質と言わざるを得なかった。
「いらっしゃい!」
店主だろうか、恰幅のよい女将が快活な声でタイヨウたちを席に案内した。
「旅人かい? この店に来るのは珍しいねぇ」
「珍しいんですか?」
言われて辺りを見回すと、確かにバーや街の中にいたような男性の姿はなく店内には、ラフな格好をした女性ばかりが食事をしていた。
「もしかして、入っちゃダメでしたか?」
「いやいや、珍しいってだけさ。別に来ちゃいけないってわけじゃないよ。で、注文はどうする?」
メニューを渡されてすぐ、女将は注文を取る準備を始めた。タイヨウは慌ててメニューに一番大きく書かれたものを指さした。




