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そこはいわゆる歓楽街と呼ばれる場所だった。
空は常闇で街頭のオレンジの明かりと、目を貫くネオンだけがこの地を照らしていた。
窓の外からタイヨウを手招きするのは、ほとんど裸に近い服装の女性たち。
シースルーの上着に下着のみを着ていて、風邪に罹らないか心配になる。
「絶対に扉を開けてはいけませんよ」
そういうセラの助言に従って、タイヨウはひたすらに運転に集中した。
「ぬえの場所は分かりそう?」
タイヨウは車を駐車場に止めてホテルに入った。勿論、いたって普通のホテルだ。
「それが、街の中にいるのは確かなのですが、それ以上はなんとも」
「そっか」
この街に入ってから、見たのは肌着の女性と、その女性を連れている男性のみだ。
建っている店も、そのほとんどがどこか怪しい雰囲気を醸し出すものばかりで、タイヨウはセウストがこの場所の事を何となくはぐらかしていた理由が分かった。
このような場所、子供の前で話せるわけがない。
「なんというか、すごい町ですね」
「そうですね。やはりああいうのは木に成るものなのですか?」
「えっと、どうだろ? 僕はあんまりかな?」
「そうですか、それなら大丈夫ですね。それじゃあ、早速聞き込みに行きましょうか」
「えっあ、うん」
外は客引きをする女性で溢れていた。立ち並ぶ店もキャバクラやバーなどしかない。
「聞き込みって言っても、どこでするの? まさかお店に?」
「まぁ、それが一番楽でしょうから。安心してください。お金はありますから」
そうしてタイヨウたちは、手始めに近くのバーに入っていった。
バーの中も薄暗く、店員らしき女性がカウンターに立っていた。
「いらっしゃいませ」
カウンターに着くと、店員の女性が水を出す。
店員も外の客引きに負けず劣らずの服装で、整った顔立ちをしていた。
客はそのほとんどが男性で、テーブル席に数名の女性がおなじく露出の多い服装で接待をしていた。
「なににいたしますか?」
カウンターに立った女性。こういうときは、バーテンダーとでも言うのだろうか。に促され、タイヨウはメニュー表を見ようとしたが、そんなものはないことに気が付く。
「えっと、お、任せで?」
「タイヨウ様。お酒は飲めますか?」
「え、あ」
タイヨウは激しく、首を横に振った。
「では、ノンアルにしますね」
ふふっと笑ったバーテンに、タイヨウは若干の気恥ずかしさを覚えて、小さくうなずいた。
「お待たせしました」
自陣の耳まで赤くなっていることを感じながら、受け取ったそれは、青い液体の入った小さなグラス。
「安心してください。お酒は入ってませんよ」
彼女はタイヨウの心配そうな顔を見て、ぱちんとウインクをした。
「タイヨウ様。見惚れるのは構いませんが当初の目的を――」
「み、見惚れてなんかないから!?」
タイヨウは咄嗟に、言い返して出されたそれを飲んだ。




