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異世界見浪記  作者: 天空 浮世
全知は全能にあらず

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「そうだよね。ごめん、そうだここの生活について教えてよ。サルビアも仕事を手伝ってるの?」


「おう、俺はここで唯小回りが利くからな。細かい仕事は俺の仕事だ!」


 思った通り、彼女は仕事の話となると、目を真珠のように煌めかせた。


「お前、思ったよりいいやつだな! 俺の宝もの見せてやる!」


 適当に相槌を打っていたら、妙に気に入られてしまった。


 「タイヨウには、幼子を虜にする成分でも出てるのかね」


 呆れたように言うツキに、タイヨウは気まずそうに笑うしかなかった。


「これだ!」


 サルビアは錆びついて凹んだお菓子の缶を持ってきた。蓋を開けると、中には色とりどりの石が入っていた。


「へぇ! すごいね」

 

 「だろ! きれいなの見つけたら持って帰ってんだ!」


 自慢げに鼻の下をこするサルビアは年相応な反応で、こんな場所で生活しているがまだ幼い少女なのだと、タイヨウは再度理解した。


 サルビアは、ひとしきりそのガラスの破片を見せて満足したらしく、お菓子の缶をまたごそごそと元の位置に戻した。


「おら、お前らそろそろ寝ろ~?」


 セウストが窓から覗くのに、サルビアは「はーい」と返事をした。


「それじゃ、お休み!」


 電気を消してサルビアはソファに、タイヨウは床で寝た。


 翌朝、起きると既にサルビアは起きて食料をヘッダに積み込んでいた。


 タイヨウは寝癖を軽く手で直して、サルビアたちの元へ近づいた。


「おはよう! タイヨウ! 準備出来たら行くって!」


 朝から元気だ。まだ外は日が昇り始めたばかりだというのに。


 この一帯は気温が高く、朝一でも半袖で十分暖かい。カラッとした暖かさは、心地がよい。


「お、そろってんな。んじゃ行くとするか!」


 セウストもやってきた。セロもタイヨウも荷物は身にまとったものがほとんどだった。


 出発の準備はすぐに終わって、缶詰を積み込んですぐに出発した。


 セウストにタイヨウとサルビア。


 ヘッダにセロが乗り込んだ。本当はヘッダにセルビアが乗る予定だったが、セルビアが駄々をこねてこうなった。


 砂埃のなか、代わり映えしない景色の中を、走って行く。


 ガソリンスタンドが砂に紛れて、黄色く溶けて行った。


 周囲はもうどこまでも同じ景色が続いているようにしか見えない。


「ねぇ、タイヨウは何が知りたいの?」


 助手席で足をぱたつかせていたサルビア。きっと暇だったのだろう。


 ガソリンスタンドが見えなくなってから何日か経った。変わらぬ景色にそろそろ飽いて来たところだ。なんでもいいから話題が欲しいとのだろう。


「僕らの大切なものを盗んだ人の場所を教えてもらいにね」


「へぇ~でも、それって個人情報でしょ? 大丈夫なの?」


「大丈夫ってのは?」


「だって、あそこで個人情報をもらうってことはだよ? それってつまり――」


 もったいぶった彼女の話は、突然現れた巨大な壁によって遮られた。

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