32
「そうだよね。ごめん、そうだここの生活について教えてよ。サルビアも仕事を手伝ってるの?」
「おう、俺はここで唯小回りが利くからな。細かい仕事は俺の仕事だ!」
思った通り、彼女は仕事の話となると、目を真珠のように煌めかせた。
「お前、思ったよりいいやつだな! 俺の宝もの見せてやる!」
適当に相槌を打っていたら、妙に気に入られてしまった。
「タイヨウには、幼子を虜にする成分でも出てるのかね」
呆れたように言うツキに、タイヨウは気まずそうに笑うしかなかった。
「これだ!」
サルビアは錆びついて凹んだお菓子の缶を持ってきた。蓋を開けると、中には色とりどりの石が入っていた。
「へぇ! すごいね」
「だろ! きれいなの見つけたら持って帰ってんだ!」
自慢げに鼻の下をこするサルビアは年相応な反応で、こんな場所で生活しているがまだ幼い少女なのだと、タイヨウは再度理解した。
サルビアは、ひとしきりそのガラスの破片を見せて満足したらしく、お菓子の缶をまたごそごそと元の位置に戻した。
「おら、お前らそろそろ寝ろ~?」
セウストが窓から覗くのに、サルビアは「はーい」と返事をした。
「それじゃ、お休み!」
電気を消してサルビアはソファに、タイヨウは床で寝た。
翌朝、起きると既にサルビアは起きて食料をヘッダに積み込んでいた。
タイヨウは寝癖を軽く手で直して、サルビアたちの元へ近づいた。
「おはよう! タイヨウ! 準備出来たら行くって!」
朝から元気だ。まだ外は日が昇り始めたばかりだというのに。
この一帯は気温が高く、朝一でも半袖で十分暖かい。カラッとした暖かさは、心地がよい。
「お、そろってんな。んじゃ行くとするか!」
セウストもやってきた。セロもタイヨウも荷物は身にまとったものがほとんどだった。
出発の準備はすぐに終わって、缶詰を積み込んですぐに出発した。
セウストにタイヨウとサルビア。
ヘッダにセロが乗り込んだ。本当はヘッダにセルビアが乗る予定だったが、セルビアが駄々をこねてこうなった。
砂埃のなか、代わり映えしない景色の中を、走って行く。
ガソリンスタンドが砂に紛れて、黄色く溶けて行った。
周囲はもうどこまでも同じ景色が続いているようにしか見えない。
「ねぇ、タイヨウは何が知りたいの?」
助手席で足をぱたつかせていたサルビア。きっと暇だったのだろう。
ガソリンスタンドが見えなくなってから何日か経った。変わらぬ景色にそろそろ飽いて来たところだ。なんでもいいから話題が欲しいとのだろう。
「僕らの大切なものを盗んだ人の場所を教えてもらいにね」
「へぇ~でも、それって個人情報でしょ? 大丈夫なの?」
「大丈夫ってのは?」
「だって、あそこで個人情報をもらうってことはだよ? それってつまり――」
もったいぶった彼女の話は、突然現れた巨大な壁によって遮られた。




