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異世界見浪記  作者: 天空 浮世
黒色の果実は夜に咲く

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 さて、どうしたものですか。

 

 部屋に戻ったセロは、階段を下りながら機械仕掛けの脳みそを回転させた。


 顔も分からない、当てもない存在を探すなど、至難の業だった。


 気づけばもう管制室。


 結局。あてはひとつしか思いつかなかった。


 セロはパネルの前にあるレバーを引く。パネルが変形して、中から小さな鞄が出てきた。


 その大きさは片手で持てるほどのもので、メイド服同様白のフリルがあしらわれている以外は、紺色のシンプルなものだった。


 マスターの最期の願いを叶える。それが私の、最後の使命だ。


 セロは鞄を手に取ると、マスターの骨を優しく抱きしめて管制室を出た。


「お待たせいたしました」


 タイヨウたちが待っていると、セロは戻って来た。手には小さな鞄だけ。


「お帰りなさい! それで、その中に探す手段があるんですか?」


 こんな大きな機械の上に住んでいるんだ。きっと聞いたこともない道具があの中に入っているんだろう。


「私が直接探しに参ります。これはただのソーイングセットでございます」


 だからこそ、その回答は予想外だった。


「え! 裁縫道具って、ていうか外、出れたんだ」


「はい。今回の案件では、それが最適でしたので」


 てっきりこの中でしか生活できないとか、そういうのがあるのかと思っていた。


 だが、それが分かったところで、疑問は解決していない。


「で、どうやって解決するの?」


「知恵の都市バビロンです」


「バビロン?」


「あそこね。確かにそれなら」


「はい。可能かと」


「ちょっと! 僕を置いて話を進めないでよ!」


 ツキもなぜか納得しているが、タイヨウにはほんの少しも理解できなかった。


「早急に僕への説明を求めます!」


「失礼いたしました知恵の都市バビロンは、文字通り知恵の集まる都市。それもどんな情報でも必ず集まります。いわば情報屋の都市なのです」


「それでぬえの居場所を知るってこと?」


「そうです」


「でもさ、それってただで聞けるものなの?」


「大抵の情報は無料で開放されてます。個人の情報となると少し面倒ですが……そこは私にあてがあります」


「そのあては――」


「内緒です」


 人差し指を口元に当ててセロは微笑んだ。


「――分かったよ。どうせほかに当てもないし、行きましょうか。バビロン!」


「ありがとうございます」


 セロはタイヨウへ向けて、最大限の感謝とともにスカートの裾を掴んで礼をした。


 目指すは世界最高峰の知恵の都市バビロンだ。

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