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転生悪魔さん〜万年の時を経てとうとう現世に降臨する〜  作者: シャルねる


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第30話

「アリアナ様、随分と面白い顔を……失礼。それは元からでしたね」


「だ、だ、誰が面白い顔よ! こ、こんな美少女に向かってよくもそんなことが言えたわね! こ、これだからばか悪魔は! ……そ、それに! あ、あんた! き、今日の朝、わ、わ、私の寝顔が、か、か、か、可愛いって言ってたじゃない! そ、そんな照れ隠しをしようとしたって無駄なんだから!」


 照れ隠しをしているのは果たしてどっちなんだろうか。……いや、確実に俺ではない方だな。俺は別に照れてないし、アリアナの顔は耳の先まで真っ赤だ。

 最初は怒りだったんだろうが……後半は絶対違うと確信をもって言える。

 ……褒められるのに慣れてないんだろうな。


「ふむ。確かに寝顔は可愛いと思いましたが──いえ、なんでもありません」


「な、何よ! 言いたいことがあるのなら、はっきりと言いなさいよ!」


 それでさっき怒ったくせに。

 

「いえ、今回は本当になんでもありませんよ。それよりも、先程発表されていた対戦相手はあまり強くない相手なのでしょうか?」


「……ふぅ。……た、対戦相手ね。えぇ。……一言で言うなら、フラワタ家の長女、ミミンは序列742位に君臨しているわ」


 君臨……そういうのってさ、もっと高い順位の奴に使わないか? 普通。いや、いいんだけどさ。

 それより、742位って……今日の放課後に行う序列戦の相手よりも高順位じゃないかよ。

 ……もうこれに勝ったら、アリアナが序列742位ってことで良くないか?


 というか、ミミンとかいうのも微妙な順位だなぁ。

 あの老婆教師ももう少し順位の高いやつをアリアナの対戦相手にしておけよ。

 ……逆にアリアナにはその程度で良いと考えたからこそだったりするのかね。

 確かに、その方がアリアナには屈辱を与えられそうではあるけど……アリアナの顔は別に余裕そうなんだよな。

 本人だって使い魔が居なくたって序列戦に挑めさえしたら、こんな順位にはいなかったって言ってるくらいだし、そもそものアリアナの魔力の質的にも742位くらいには勝てそうだがな。

 あくまで質だけを見るのなら、だけどさ。


「相手の手札は分かっているのですか?」


「ミミン本人は土属性の魔法を得意としていたはすよ。使い魔は……分からないわ」


「はい? アリアナ様の話では定期的に試合が行われているという話でしたが?」


 俺としては手札が分からない方が楽しみが増えて嬉しいけど……アリアナは知ってなきゃダメだろ。なんで知らないんだよ。


「う、うるさいわね! ……た、戦ったことのある相手以外は高順位の……勝手に情報が耳に入ってくるような人の使い魔のことしか知らないのよ!」


「なるほど。つまり、授業で行われている試合は使い魔を召喚できる相手に嫉妬してしまうから、真面目に見ていなかったと」


「……ふ、ふんっ。……使い魔なんていなくたって、私は強いのよ」


 俯きながら、そう言うアリアナ。

 その言葉はまるで自分に言い聞かせているようだった。


 何歳で使い魔を召喚できるようになるのかなんて俺は知らない。

 もしかしたら、人間であるのならば、生まれたその瞬間から召喚すること自体は出来るのかもしれない。

 そして、人間たちが何歳で基本的には使い魔を召喚するのか、なんてことも俺は当然知らない。

 5歳の時か? 10歳の時か? 15歳の時なのか?

 俺はもう、アリアナは家族にすらも見捨てられているんだと決め打っている。

 いつからこいつは1人なんだろうな?

 

 少しだけ、重ねてしまった。

 まだ悪魔を作る前の、あの世界に1人で閉じ込められていたあの頃の俺と、重ねてしまった。

 

「おい、アリアナ」


「ッ、あ、あんた! だ、誰に向かって──」


「黙れ。……お前には、俺がいるだろう」


「ッ」


「少なくとも、俺はお前を裏切らないし、1人にしないと約束してやる」


 まぁ、好き勝手にはやる予定だがな? それで俺が楽しくなくなったら、本末転倒だし。

 その結果アリアナが不利益を被ったって……うん。裏切りはしないさ。ちゃんと助けてやるよ。

 

「ミス・チェントラッキオ! ミス・フラワタ! 初戦はあなた達です! お互い殺傷能力のある武器や魔法は禁止です! 前に出なさい!」


「行くぞ」


「……ぅん。……そう、そうね。あんたは……ラストは……私の使い魔だわ! ラストが私を裏切らない? そんなの当たり前のことなのよ! 今更わざわざ宣言するまでもないわ! …………で、でも、ありがと。ちょっとだけ、感謝してあげるわ」


 顔を赤らめつつ、笑顔でそう言ってくるアリアナ。

 

「仕方がないので、その感謝、素直に受け取って差し上げましょう」


「ほ、ほんと、あんたは……まぁいいわ。今は……気分がいいもの。絶対、勝つわよ。ラストっ」


「当然でしょう。序列最下位の雑魚でどうしようもない存在のアリアナ様だけならば難しい願いかもしれませんが、私がいるのですからね」


 そう、俺がいる。だから、お前も俺を1人にするな。

 一生、俺の玩具であれ。



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