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転生悪魔さん〜万年の時を経てとうとう現世に降臨する〜  作者: シャルねる


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第11話

「アリアナ・チェントラッキオさん。遅刻の理由を話していただけますか?」


 教室までアリアナと一緒に走らされた俺は、アリアナが教室の少し前で息を整えるのを待ち、一緒に教室に入った。

 そして、アリアナが遅刻したことをねちっこそうな老婆の教師? に謝罪をしたところで、ゆっくりとそう聞かれていた。


 あぁ、アリアナの家名、そんな感じだったな。

 なんだよ、チェントラッキオって。覚えにくすぎるわ。

 ……夜、アリアナを襲ってきたあの暗殺者共を襲撃して、誰に雇われたのかを吐かせる時くらいにまでは覚えておくように努力するか。

 ……その努力が実るかは知らないけどな。


「そ、それは……」


 俺がそんなことを思っていると、アリアナは詰めてくる老婆に向かって何と言おうかを迷っている様子だった。

 

「つ、使い魔の登録に行っていたんですの」


 暗殺者のことを話せばいいのに……と思うのは、俺が事情を知らないからこそなのかね。

 もう証拠が無いから、話したところで無意味なんだけどさ。


「使い魔……? まさかそれのことを仰っている訳ではないでしょうね?」


 俺の方に視線を向け、老婆がアリアナ……だけじゃなく、俺にまで蔑むような視線を向け言ってくる。

 抑えているようだが、教室にいた他の生徒からもクスクスとした笑い声が漏れていた。

 

 この世界の成人が何歳からかなんて興味が無かったから知らないけど、俺の転生前の世界ではアリアナは見た目的にまだまだ少女だ。

 よく引きこもりになったりしなかったな、と素直に感心した。

 まぁ、あの強気な性格だからこそ、悔しいって思いの方が強くて、それを原動力にしてるのかもな。


「そうだとして、何か問題でも? 学園のルールで悪魔を使い魔にすることは認められているはずですが」


「ダメだなどと私は一言も申しておりませんよ。ただ──」


 そこで余計な考察からは思考を打ち切り、老婆に意識を向ける。

 俺にそういう視線を向けてくれるのは良い。

 心地が良いからだ。

 ただ、心地が良いからと言って、舐められたまま何も無く許すわけにはいかない。

 だから──


「ッッッ!?」


 少しだけ殺気をプレゼントしてあげた。

 本気じゃない。

 俺が本気でやったら、相当の手練、もしくは殺気に対して異常に耐性のあるもの以外は耐えられないと思うから。

 あの毎日毎日殺し合いをしている殺伐とした悪魔共でさえ、1度俺が本気で殺気を飛ばしてやったら、白目を剥いて気絶してしまったからな。

 排泄機能があったら、失禁してたんじゃないだろうか?


「おや? 先生……でよろしいのですよね? どうかしたのですか? 随分なお歳のようですし、もしや腰の調子でも悪いのですか? もしや朝食を食べていないのでは……? あぁ、答えなくてもよろしいですよ。先程も申しましたが、随分なお年のようです。食べたか食べていないか、最早思い出すこともお辛いでしょう。誰か、この方を医務室に運んで差しあげなさい」


 腰を抜かしかけ、教卓に手を付き何とか耐えてみせていた老婆に対して俺は笑みを向けながらそう言ってやった。最後は生徒たちであろう者達に向けながら、手をパンパンと叩きながらだ。


「ッッ、み、ミス・チェントラッキオ! な、なんですか! その無礼な悪魔は! 召喚主の貴方が制御しないでどうするのですか!?」


 顔を真っ赤にして、老婆の教師は俺……ではなく、召喚主であるアリアナに対してヒステリックな様子で色々と言っていた。

 てか、アリアナの普段の呼び方、そういう感じなんだ。

 

 アリアナはそんな様子に体を小さく震わせていた。

 怯えている……訳じゃないことは、俺から見えるアリアナの角度的に一目瞭然だった。

 ……こいつ、上手く生徒やこの老婆から口元を隠しているが、明らかに口角が上がっていやがる。


「ルーナリア先生、それはとんだ誤解ですわ。その悪魔は……ラストは言葉こそ悪いものの、純粋にルーナリア先生を心配していたのですよ」


「どの口でそんなことを……さっきのあれだって、ミス・チェントラッキオが命令をしていたのでは?」


「さっきのあれ、とはなんのことでしょう?」


「ッ〜、もういいです。授業が始まっているのですから、早く席に着きなさい。……あなた達! 私の体は大丈夫だから、医務室に連れていこうとするのはやめなさい!」


「ラスト」


 アリアナの後を追い、1番後ろの席に一緒に腰を下ろした。


「……あんたは使い魔でしょうに。……まぁいいわ。スッキリしたもの。褒めてあげるわ、ラスト。ありがとね」


 ちょうど俺の座っている方向の後ろには誰も人がいない。

 だからこそ、俺にだけに見えるような満面の笑みでアリアナはそう言ってきた。

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