第2話 〜酒瓶と私…〜3
Third
昨日の雨が嘘のように、外は晴天で晴れ晴れとしていた。
この日私は家族の中で1番早く起きていた
「おはよう」
お母さんが起きてきた
「おはよう」
お父さんもお母さんに着いて来るかのように、一緒に起きて来た
朝ごはんを作るお母さん
まな板で野菜を切る音 ジュージューとフライパンでハムを焼く音
味噌汁の匂いがリビングに広がる。
「早く起きなー!遅刻するよー」
お母さんが双子を起こしに部屋へと行く
昔からなのか、日本人だけなのか、世界中もそうなのか…基本なのか…基本?
母親の起こし方だ。
お母さんの一言なのか、朝ごはんの匂いなのか
双子の弟妹は素直に起きてくる
お母さんの料理は美味しい
朝から幸せな気分になる
手羽先の作り方もお母さんに教えてもらった
お兄ちゃんもお母さんの手料理が恋しいのか、休日には家に帰って来てお母さんの作るご飯を食べている
毎日の日常…
業者さんもそんな毎日を家族と過ごしているのかな?
それとも…
今日も私はお店に出勤
道中、酒屋さんの前を通る
(あれ?今日は業者さんいないのか?)
私はため息と共に悲しい気持ちになった
にゃー
猫の鳴き声
ふと見つめると家で飼っている猫だった
「ちょ!オマエなんでここにいる!?」
私は思わず飼い猫に問いかけてしまった
にゃー
飼い猫が逃げる
「なんで逃げるんだよ」
私は思わず飼い猫を追いかけた
すると、その先に待っていたのは…
髪が茶髪でショート、小柄な女性だった。
「あ!」
私は思わず声が出てしまった
「こんにちは」
小柄な女性は笑顔で挨拶をしてきた
「こんにちは」
私も挨拶を返す
にゃー
ゴロゴロと喉声を鳴らしながら飼い猫は女性に懐いていた
「もしかしてチャトランお姉さんの飼い猫ですか?」
女性は私に質問してきた
「チャトラン…『て』⁇」
私は思わず質問を質問で返してしまった
「あ!ごめんなさい 茶虎柄だから単純な名前付けてしまって」
女性ははにかんだ笑顔をしながら答えてくれた
「あ!別に全然…」
全然ってなんだろうと考えながら私は女性の質問を返していない事に気がついた
「名前はももって言います」
女性の質問に答えた
「ももちゃんかー!かわいい名前ですね!
ももちゃん…」
女性は飼い猫のももを撫でながら嬉しそうな表情を浮かべていた
(可愛らしい人だな)と思ったと同時に、業者さんとの関係を気にしていた
アルバイトなのか 仕事仲間なのか はたまたそれ以上なのか…
こんなにも笑顔が素敵で猫好きな女性なのだから
業者さんもきっと…
私は色々な事を考えながら複雑な気持ちになっていた。
と、思っていたが女性の一言で複雑な気持ちは一変した
「昨日、凄い雨なのに兄が出かけまして、帰ってきたらずぶ濡れで!傘の意味ないね!みたいな…」
なんて話してたら、風邪ひいちゃいまして、
お土産の手羽先、懐に入れて守ってたみたいで…etc
女性は淡々と話をしていたが、私の頭の中には女性の言葉が引っ掛かっていた
「あに…?あにとは…?あにとは、あの兄か?
私にもお兄ちゃんがいますけど、兄とは言った事がない なんか面接とかでしか言った事がない 多分
もしかして、業者さんの名前か!アニ…
アニー…ミュージカル」
そんな事を考えているが、女性は淡々と話しをしている
「前に居酒屋さんから頂いた手羽先が美味しくて
それで、出かけたみたいで…
お土産の手羽先、懐に入れて守ってたみたいで…
その手羽先が凄く美味しくて!私もその手羽先のファンになっちゃいましたよー」
女性は私の作った手羽先を褒めてくれていた
嬉しかった
けれど、女性の褒め言葉より
業者さんが昨日の豪雨の中お店に来てくれて
私の作った手羽先を食べに来てくれて
お土産の手羽先も守ってくれて…
私の心の中は、業者さんでいっぱいになっていた