第2話 〜酒瓶と私…〜2
Second
今日は雨か…
外は土砂降りで、例年にない雨の降り方だった。
「今日は凄えなぁ!こんなんじゃお客さん来ねえなぁ!」
私がお店に着いて10分も経たずに、土砂降りの雨が降ってきた
大将も店を閉めるか悩んでいる。
業者さんはこんな雨の日でも何処かで配達しているのかな?
今日は業者さんが配達に来ない日
例年にない土砂降りの雨に、私は業者さんの心配をしていた。
ザー…
雨の音と、テレビでアナウンサーが喋る声
大将が新聞を読んで居眠りする姿
時間だけが過ぎていく…
徐に大将が
「お!こんな時間か!まかない用意しなきゃな」
大将がいつもの時間に私のまかないを作ってくれる
大将の作るご飯が美味しくて、少し太りぎみが気になる
大将のまかないを作る音 テレビでタレントが喋る声 雨の…
ガラ!!
急な扉が開く音に私はビックリして、声を上げる事なく驚いた!
「こんにちは!」
扉を開けて挨拶をしたのは業者さんだった
「よぉー!今日は配達頼んでねぇぞ!」
大将がお店の厨房から、声を上げていた
「いやー!今日はこんな土砂降りだから、他のお店の人達も配達はいいって言うんで、急遽休みになっちゃいましたよ」
業者さんはいつもの笑顔で、大将に答える
「なんだよ!何しに来たんだよ」
大将が嬉しそうに業者さんに問いかける
「この前ご馳走になった手羽先が美味しくて、
こんな時間だし来ちゃいましたよ!」
業者さんは私の作った手羽先を気に入っていてくれていた
「だってよ!手羽先入りまーす!」
大将が私の顔を見て手羽先のオーダーを頼んだ
「はい!」
返事をしたものの、私はキョトンとしながらお店のカウンターの椅子に座っていた。
「こんな土砂降りの雨にありがとな!
まかない食わしてからにするからよ!ちょっと待っててよ」
大将が感謝の言葉で業者さんに問いかける
「まかない要らないです!」
私はまかないを断って直ぐに厨房に立ち手羽先を作った
私の作る手羽先を業者さんが気に入ってくれた。
私の心は弾んだ いつもよりも一層愛情をかけて作った
「はい どうぞ」
私は業者さんの目の前に立ち手羽先を差し出した
「いただきます」
業者さんは一口食べる事に美味しいと言ってくれる
業者さんの美味しそうに食べる表情に、私はまた新しい顔を見たと思い、嬉しい気持ちになった。
「本当に美味しい!手羽先をお持ち帰りで10本作れますか?」
業者さんは私の作る手羽先を凄く気に入ってくれた。 だけど手羽先を、お持ち帰りに…
お店に雨の降る音が鳴り響く
私の頭の中では、この間会った小柄な女性を思い出していた。