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恋愛白書  作者: 沖南 恭
4/10

第1話 〜好きな花〜4

      

           Fourth



 それからの僕は自由時間になると、女子に会いたくて毎日病室へと向かった。

ゲームをしたり、お喋りしたり

僕の書いた本も読んでもらう為に…


女子は笑顔で聞いてくれる


ニコニコといつもの女子


笑顔が似合ういつもの女子


重い病気だなんて嘘のよう…


今にも「テッテレー」って、「ドッキリだよ」笑

なんて言ってきそうな…


そんないつもの彼女がそこに居た



先生の許可を得て女子と病院の近くを散歩した


「今日は身体の調子が良いから外で一緒に話しがしたかったんだー」

満面の笑みで女子が言う


(100点満点の笑顔です!)

 男子が心の中で思う


「だから凄く嬉しい」

100点満点の笑顔で女子が答える


途中コンクリートブロックの壁がある

その階段を登ると、河川敷があった


綺麗な川

幼さが残るような声で女子が言う


近くにこんな綺麗な川があったんだね

優しい口調をした男子が答える


「ねぇ。深夜の事覚えてる?」

徐ろに女子が問う


『うん。覚えているよ!

看護師さんオバケどっきり作戦だよね!』

ドヤ顔で言う男子


「そうそう」

クスクスと笑う女子



マジにヤバかったね!


楽しかったけど


その後めっちゃ怒られたもんね


まさかあんなに泣くなんて思わないし


可哀想な事したー


どっきり!しようって言ったのそっちだからね


でも…あんなに


ね!あんなに泣くからバレたんだよ


前代未聞だってめっちゃ怒られたね


etc…

お互い笑顔で…少年少女のように話をする男女



再び歩き始めた男女

途中鮮やかに広がる花を見つけた


わぁー凄い綺麗だね

繊細な声で男子が言う


雪割草だぁー

ホント綺麗だよね

少し掠れた声で女子が答える


『雪割草?雪を割る葉っぱなの?』

男子は女子に問いかける


「雪割草は春に咲く花なんだよ!文字通り雪を割って咲く花!元気いっぱいの花なんだよ」

女子は笑顔で男子に答える





雪割草かー

綺麗な花だね



うん

好きな花なんだ







数日後…

女子の手術が始まった。


時が止まるほどの時間だった


女子の親 親族 友達

そして…僕


みんな女子の帰りを待っていた


また元気な姿で…

みんなの前に戻ってきてくれる事を祈って…


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