第1話 〜好きな花〜3
Third
それから僕達は会う約束の日を決めてお互いの病室を行き来していた。
「最近あの子達一緒に居るわよね」
「そうなのよ。それに男の子、最近明るくなったわよね」
驚いた様に若い看護師達が話す。
「愚痴は言わないし朝食も食べるようになったし…仲が良いことはイイことよ」
ベテラン看護師が諭す。
うわぁー!凄い大きな綿あめー!
うわぁー!うさぎさんだぁー!
ねぇねぇ 写メ撮ってよ!
きゃあぁぁぁー!ジェットコースターぁぁぁ!
…
『ねぇ これは、恋愛小説なの?』
女子が言った言葉を文にした男子が、その文を読んで疑問に思う。
「何で?デートしてるから恋愛小説でしょ!」
ドヤ顔で言う女子
『うわぁー きゃあーってなんか違うような気がする』
「イイじゃん!イイじゃん!私デートしてる本が読みたいの!」
膨れて言う女子に、困った表情をする男子
「さぁさぁ 今日は検診の時間だよ」
女子の担当医師が、男子の病室に入ってきた。
「先生来ちゃったよー 」
膨れる女子
ホッとした表情をする男子
「今日は何を話してたの?」
女子の担当医が問いかける。
「先生聞いて!」
女子が食い気味に担当医に寄り添う
「デートしたいから、その本を書いてって言ったら違うって言うのー」
女子が担当医に話す
担当医は、男子が書いた文を読み怪訝な顔をする
「確かに違うかな」
担当医は文を読みながら答える。
「先生もー」
頬を膨らませて女子が不貞腐れる。
担当医は穏やかな表情を浮かべ「さぁ、もう行くわよ」と女子に言う
男子は2人のやり取りを黙って見ていた。
「じゃあ、先生も納得いくデート話よろしく」
女子は男子の顔に近づきお願いをする
男子は、ちょっと驚き『はい』と言い返す
「じゃあまたね」
笑顔で手を振る女子
笑顔で手を振り返す男子
…
数日後…
女子は約束の時間になっても男子の病室に来ることが少なくなった。
『最近来ないなー それに部屋に居ない時も多いし、検診長いのかな?どうしたんだろ?』
男子は女子の事を思い、いくつかぶりに夜のロビーに居た
夜間なのか看護師が患者の話をしていた。
「A号室の女の子、今度手術らしいわね。
輸血でなんとかなってたけど…」
会話が耳に入った男子は駆け寄り、看護師に話しかける
『A号室の子ってまさか…』
看護師は急に質問してきた男子に驚いた表情をする。
『そんな事、一言も言ってなかったのに…
そんなに重い病気だったなんて…』
男子は懸念な表現を浮かべながら女子の病態を心配していた。