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干支の国  作者: ジャム猫
プロローグ
5/8

限界を超える戦い

「白兎くん、本当に大丈夫なの?」


メジロが心配そうに白兎を見つめる。


彼の肩からは血が滲んでいた。ゲームのダメージエフェクトとはいえ、リアルな痛覚がフィードバックされる仕様のため、鈍い痛みが続いている。


「問題ない……むしろ、いいデータが取れた」


「データって……白兎くん、そんな余裕あるの?」


白兎は短剣を握りしめ、冷静にガルーダを見据えた。


(次の攻撃は……見える)


彼の中で、確信が生まれつつあった。


これまでは「なんとなく回避できていた」感覚だったが、一度被弾したことで、より明確に相手の攻撃の癖が見えてきた。


——ガルーダの爪の角度。

——翼の動きによる突風の発生パターン。

——急降下する際の目線の動き。


それらの情報が、頭の中で整理されていく。


(あとは、それを“確実に”活かすだけだ)


白兎はわずかに口角を上げると、メジロに指示を出した。


「お前は引き続き援護に回れ。俺が前衛を張る」


「えっ!?でも、それじゃまた攻撃を——」


「もう当たらない」


白兎の瞳は、確信に満ちていた。


「……わかった!私も全力でサポートする!」


メジロは弓を構え、二人は再び戦闘態勢に入る。




ガルーダが鋭い鳴き声を上げた。


——次の瞬間、強風が吹き荒れる。


「また来る……!」


メジロが警戒するが、白兎は微動だにしない。


(風の発生源は左翼。吹き飛ばされる前に、右側へ——)


彼は風を読んで一歩だけ踏み込む。


突風が吹き抜けると同時に、ガルーダが急降下。


「——来た」


白兎の体が自然に動いた。


軽く膝を曲げ、ほんの数センチだけ後方に下がる。


ガルーダの爪が、彼の目の前をかすめて地面を切り裂く。


「……っ!?避けた!?」


メジロの驚きの声を聞く間もなく、白兎は更に動く。


(次は横薙ぎの爪……左に回避)


回避。


(風を纏った翼の打撃……しゃがんで避ける)


回避。


(突進からの急停止……カウンターのチャンス)


「……今だ」


白兎は瞬時に短剣を振るい、ガルーダの翼を切り裂く。


「命中……!」


メジロが感嘆する。


白兎の動きは、まるで敵の攻撃をすべて事前に知っていたかのようだった。


(確信した……こいつの動きは、もう完全に読める)


白兎は静かに息を整え、次の攻撃の準備をする。




だが、次の瞬間——


「——ッ!?」


ガルーダの体から、突如として強烈な突風が吹き荒れた。


「なに!?」


白兎は思わず足を取られ、後方へと吹き飛ばされる。


「白兎くん!!」


メジロが叫ぶが、白兎は咄嗟に地面を蹴って体勢を立て直した。


「……っ、今のは……」


ガルーダの身体が淡い青い光に包まれている。


そして——


《風の守護者・ガルーダのフェーズ2が発動しました》


「フェーズ2……!?」


「こいつ、まだ本気を出してなかったのか……」


白兎は歯を食いしばりながら、ガルーダを見据える。


——ガルーダの目が赤く輝き、その身体が風と一体化するかのように薄く揺らいだ。


次の瞬間、ガルーダの姿が消えた。


「消えた!?」


「……違う、スピードが上がっただけだ!」


白兎は即座に反応するが、すでにガルーダの爪が目前に迫っていた。


「——っ!!」


白兎は咄嗟に跳躍する。


しかし、ガルーダの動きはすでに次の段階へと進んでいた。


「白兎くん、危ない!!」


メジロの叫びが響く——

読んでくださっている方々ありがとうございます。

初めて執筆活動ですが、今後の展開お楽しみ下さい!物語が動きます!!

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