初めての共闘
白兎はエアロシティの武器屋で新しい短剣を手に入れた。
「悪くないな」
軽量ながらも鋭い刃。兎族の俊敏性を活かした戦闘に適している。
「白兎くん、次はどうするの?」
隣でメジロが楽しげに聞いてくる。
「ダンジョンにでも行くか」
「おお!いいね!どこに行く?」
白兎は地図を開き、近くのダンジョンを確認した。
「……《風鳴の谷》か」
エアロシティの西に広がるダンジョン。強風が吹き荒れる渓谷で、酉族や風属性のモンスターが多く生息している。
「じゃあ決まり!早速行こう!」
メジロは勢いよく羽ばたき、ふわりと空へ浮かぶ。
「白兎くん、移動スキルある?」
「ああ、《俊敏の跳躍》がある」
「おお、いいね!じゃあ、競争しよっか!」
メジロはいたずらっぽく笑うと、一気に飛び立った。
「……ふむ」
白兎も膝に力を込め、跳躍した。
《風鳴の谷》
ダンジョンの入り口に到着すると、強風が吹き抜けた。
「うわー、すごい風……!」
「酉族には有利な環境だな」
「そうだね!でも、地上を移動する白兎くんにはちょっと不利かも?」
メジロは軽く飛び上がり、風に乗るように舞う。
「だが、俺には俺の戦い方がある」
白兎は短剣を握りしめ、ダンジョンの奥へと進んだ。
奥へ進むと、風を纏ったモンスター《ウィンドバード》が姿を現した。
「よし、戦闘開始!」
メジロは軽やかに飛びながら、弓を構えた。
「《風刃の矢》!」
放たれた矢が風を切り、ウィンドバードに命中する。
「俺もいく」
白兎は《ステルスモード》を発動し、風に紛れながら接近。
「《兎影一閃》」
短剣が鋭く閃き、ウィンドバードの急所を突く。一撃でモンスターは霧散し、経験値が表示された。
「おお!白兎くん、やるね!」
メジロは空中でくるりと回りながら笑う。
「お前もな」
「えへへ、ありがと!」
こうして、二人の初めての共闘は順調に進んでいった。
レベルアップ!
ダンジョンの中層に差し掛かった頃、白兎の視界にシステムメッセージが表示された。
《レベル2に到達しました》
「レベルが上がったな」
「やったね!白兎くん、ステータス見てみて!」
白兎はメニューを開き、自分のステータスを確認した。
《白兎のステータス》
• プレイヤー名:白兎
• 種族:兎族(スカウト特化型)
• レベル:2
• HP:120(+20)
• MP:60(+10)
• 攻撃力:18(+3)
• 防御力:12(+2)
• 敏捷性:35(+5)
• 知力:12(+2)
• スキルポイント:1(未使用)
「おお、敏捷が上がってる!」
メジロが覗き込んできた。
「まあ、兎族だからな」
「スキルポイントも1増えてるね。何に振るの?」
白兎は考え込む。スキルポイントは重要な成長要素だ。
「……《影縫い》を取る」
《影縫い》——敵の影を一瞬縫い止め、動きを鈍らせるスキルだ。
「いいね!じゃあ、次の戦闘で試してみよう!」
メジロはワクワクした様子で前を向く。
「……行くぞ」
「うん!」
二人は再びダンジョンの奥へと進んでいった――。