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第五話

「虎侍君、無事でしたか!?散歩に行ったきり帰ってこないから心配しましたよ」


「すいません…」


「まぁまぁ、先生そう怒らないでやってくださいよ。見ず知らずの子を助けた英雄なんですから」


「え、英雄って一体何をしたんですか?まさかさっきから話題になってる少年って虎侍君のことなんですか?!!」


先生と町人のおっちゃんが少し温度差の違う状態で話をしていた。

方や魔物によってもう助からないかと諦めかけた子供を助けた英雄に直にあって興奮しきっている状態で、方や三日前に瓦で頭を強打し記憶喪失になって旋術も使えない状態で魔物に向かっていった無謀さに顔を青ざめている状態だ。

ちなみに虎侍はというと助けた子供の親や親類から感謝の言葉を腹いっぱい、胸いっぱいまで言われ。

英雄の顔を一目見ようと群がっている町人たちにもみくちゃにされ、顔には少ししか表れていなかったが、気圧される程の活気の中心に自分が居ると思うと心身共にぐったりしていた。



――――――――*―――――――――――――*――――――――――――*―――――



5日後、虎侍は求人板の前に居た。

あの後散々先生に旋術ができない状態で魔物にかかっていくことがどれだけ危ないことかを事細かに教えられ、そしてそれが終わると旋術がどの様な時でも使えるかを3日間様々なときに聞かれた。

この間英雄の話は噂になり尾びれ、背びれが付き虎侍は何故かとある有名な武家の嫡男で自分の力で庶民の平和を守ろうと親の反対を押し切り色々な町や村を巡っているというものだった。

その噂を聞き年頃の女性がお付き合いをしたいという内容を顔を真っ赤にして言うだけ行って走り去ってしまい、男性の場合弟子にしてほしいということで朝から晩まで診療所の前で座り込み先生に叱られていた。町人のそんな行動は4日目、つまり昨日から収縮し、虎侍はようやく外に出ることができた。だが、奇異の視線は今も途切れることなくそこそこ疲弊してきている。




……胃がキリキリする…俺が一体何をしたーーー!!!まぁいいや我慢だ、我慢。

それより求人板って結構色々あるんだな。子守、家事手伝い、畑耕し、公衆厠掃除ってなんだよ求人のレベル低!!!厠掃除って役人がしろよ!!

俺が見たいのはこれじゃなかった。

魔物退治は…10級~7級か10級は飛び兎退治、糸吐き土竜(もぐら)の幼虫駆除、虎鼬(とらいたち)の子供退治、不思議動物だなこれは。飛び兎って挿絵からして羽の生えた兎か?退治する必要あるのか?女の子が喜びそうだぞ。

9級は糸吐き土竜の駆除、角蝉(つのぜみ)の退治、蜥蜴亀(とかげがめ)の卵駆除、駆除とか退治ばっかりだな糸吐き土竜成長してもあんまり強くないのか1つ級上がっただけだぞ。



虎侍は求人板にある求人書を1枚ずつ見てどんな魔物かを想像し少し楽しんでいた。視線のことは忘れているので本人にはいいのだろう。町人は虎侍がどのような魔物を倒すのか興味津々のようだ。



6級からは役所の中か。危険だから中で処理してるのか?まぁ、怖いから魔物退治行く気ないけど。

元の世界に戻る方法を知るにはもっと大きな町とかに行った方がいいのかな?誰にも相談できないから困ったな…とりあえず先生には記憶を取り戻す為に旅をするって言おうかな。んで、商人とか町を行き来する人のことろに雑用として付いていくが一番安全だよな。



虎侍が求人板から離れ帰ろうとしたとき役所から人が出てきた。ぶつかりそうになり慌てて立ち止まる。無意識に謝ろうとしてぶつかりそうになった人の方を見ると目に付いたのが燃え上がりそうな真っ赤な髪の毛とそこら辺にいるチンピラが尻込みしてしまいそうになる程の厳つい顔をした武人と思われる青年だった。青年は虎侍をじぃ~と観察する様に見てニカッと笑う。厳つい顔から想像もできないような温和な笑顔が飛び出てきておっかな吃驚している虎侍だった。


「あんた武人だろ?俺は志真 雷聖(しまらいせい)。依頼を請けよと思ったんだが2人以上じゃないとできないって言われたんだ。頼む!!一緒に請けてくれ!!」


ギャップとあまりの勢いに圧され頷いてしまった虎侍は後悔先に立たず雷聖に引っ張られて役所の中に入った。裃を着た役人と何かを言い。5分もしないうちに契約書と思われる紙を持ってきた。チラリと見えたところには5級と書いてあった。



ああああ!!!しまったぁぁああああ!!!なんで頷いたんだよ俺!!5級なんて無理無理!!でかい蜘蛛は倒したけど他は無理だって!!誰かーーー!!!代わってくれ!!!!



虎侍の心の声も虚しく、雷聖はニカッと笑い頑張ろうなと言ってきた。眩しい笑顔だと虎侍は思うのだった。


次は視点が変わります。

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