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第十九話

瑠奈side...


あ~失敗しちゃったな~


飲み屋から借りている傘を畳み、宿の店員に預かってもらう。そして雷聖と虎侍が泊まる部屋もついでに借りておく。瑠奈と皐月の部屋から3部屋ほど離れた部屋の札を渡された。そしてちょうど雷聖が浴場から出てくる。


「虎君どう?」


瑠奈は部屋の札を渡しながら聞いた。


「ん~放心状態?」


「あちゃ~、あたし達も少しふざけ過ぎたわね」


瑠奈は俯き、雷聖は頭をガリガリと掻く。


「そういえば皐月はどうしてるのかしら?虎君があんな感じじゃ皐月も相当参ってそうね…」


「ああ、そっちの方も気になるな」


瑠奈はじーっと雷聖を見て。


「男子禁制!」


「分かってる!」


雷聖は慌てて否定する。


「そっちの方は瑠奈に任せるから部屋に行くついでに俺と虎侍の鞄を渡してくれあいつの服も必要だし」


「まぁそれなら…でも部屋の外で待っててよ!」


瑠奈はそう言ってさっさと歩き出す。雷聖はその後を追う。



「皐月?…入るよ」


「おかえりなさい…」


「う、うんただいま」


皐月の弱弱しい声が瑠奈に刺さる。瑠奈はそろそろと部屋に入り、部屋に明かりは無く真っ黒だが気配で皐月が部屋の隅で居るのは分かる。


直ぐに声をかけたいけど先に雷聖に荷物渡さないと無理やり入ってきそうね。え~っと確かこの辺に…


ガッ!

ゴツッ!


「痛っ~~~」


瑠奈は置いてある鞄に躓き結構な勢いで壁に激突する。


「瑠奈大丈夫?」


「大丈夫、大丈夫…」


うう~心配なのは皐月だよ~また辛いことを溜め込もうとしてるし…


瑠奈は躓いた鞄を拾い渡しに行く。戸を開けると直ぐに雷聖が来て瑠奈は荷物を渡す。


「これだけよね?」


「ああ、ありがとう」

雷聖は荷物を見て答える。


「虎君疲れてるばずだから今日は何も聞かずゆっくりさせてあげなさいよ。ずっと雨に打たれてたんだから下手に湯冷めとかしたら明日風邪ひいちゃうし」


「分かってるお前の方もほどほどにしろよ」


雷聖はそう言って部屋の方へ向かっていく。瑠奈はそれを見送り小さくため息をついた。


はぁ、皐月に事情を聞かないと。こんな雰囲気で楽しくこれから旅をしましょうなんて言えないし。でもどっちかが悪いっていう感じじゃないしむしろ、どっちも反省してるみたいに見えるし…厄介なことになったわね…とりあえず事情が分からないと何も進まないわね頑張らないと。


瑠奈は心の中で気合を入れ、部屋の中に入り戸を閉める。暗い部屋に目が慣れるまで少し待つ。その間皐月の息遣いを聞く。


あら、もしかして泣いてた?


目が慣れたところで部屋にある小さな行灯に火を灯す。小さな光だが暗かった部屋を明るくさせる。皐月の方を見ると背中を壁につけて俯いて座っていた。


ん~少し落ち着くのを待ったほうがいいわね。お茶でも飲もうかしら。


部屋に置いてある急須にお湯を入れ2人分のお茶を入れる。


「皐月、お茶よ。熱いから気をつけてね」


皐月は瑠奈からお茶を受け取りゆっくり啜る。瑠奈もそれを見てお茶に息を吹きかけながら少しずつ飲む。温かさがほんのり染み渡る。


虎君も皐月も落ち込みすぎて体調まで響かないといいんだけど。


妹と弟を見守る気分になる瑠奈だった。


「瑠奈。ごめんなさい折角、虎侍さんと2人っきりにしてくれたのに…」


全くこんな時にまで他人を優先するんだから…まぁそこが皐月の良い所なんだけどね。


「大丈夫よ。元はあたしが言い出したんだもの」


「でも、ごめんなさい」


あ~失敗した~ここから聞き出すのは厳しい。


2人の間に沈黙が漂う。


「瑠奈。私初めて好きになった人が虎侍さんだと思うの」


「うん」


皐月の告白を遮らないように静かに瑠奈は聴く。


「でも私じゃ駄目みたい」


「なんで?」


「私弱いから。だから虎侍さんにも…」


「皐月。あたし達が居なかったときのことを教えてくれない?あたしが無理に虎君と2人っきりにさせたんだし、こうなった過程をちゃんと聞いておく必要があると思うし。」


ここまできたらちゃんと聴いておかないとね…


殆ど影になって見えなかった皐月の顔がようやく見える。いつもは整っていて真っ直ぐな髪の毛が少し乱れ、目はさっきまで泣いていたことがハッキリと分かるほど充血している。そんな瑠奈を見ていると瑠奈はつい数時間前の自分に叱咤したい気持ちに襲われる。


「実は…夕食を虎侍さんと食べ終えたところまでは自分でも上手くいったと思ってたの。でも、私が先にお店から出ていたときに私…男性の人に暗いところまで連れて行かれて……」


皐月の言葉が止まる。瑠奈は皐月の次の言葉を止めようかと迷い夜の静けさが部屋に訪れる。


「皐月、無理しなくていいよ。疲れたでしょ。お茶でも飲んで今日はゆっくり寝ればいいわ」


瑠奈は言い出せない皐月にこれ以上聴くことは憚られたので就寝を促すためにお茶を急須に入れるために立ち上がろうとする。


「待って瑠奈。急に止めてしまってごめんなさい」


「皐月、無理をしなくてもいいのよ?」


「私、弱くても頑張って虎侍さんの傍で居たいから…聞いて欲しいの」


皐月の言葉を聞いて瑠奈は思わず微笑みを浮かべてしまう。


「分かった、ちゃんと聞くわ」


顔を引き締め皐月に頷く。皐月もそれを見て小さく頷く。


「私、その男性に変なことをされそうになったときに虎侍さんが助けてくれたの。でも、そのとき虎侍さんの顔、とっても怒って見えたの」


うんうん、虎君も男の子ね。少し見直しちゃった。


「それで?」


「えっとそれだけなんだけれど…」


……………あれ?掴みかけてた答えがどっかに吹き飛ばされたみたいなんだけれど…

ていうかどこでこういう風になったのか全く分からないんだけど?

え~っとお店を出て不良に皐月が襲われているところを虎君が助けたのよね?

真反対の方向に進んでるのは何で?


「え、えっと皐月?」


「どうしたの?」


別の意味で困惑している2人の視線が合う。


「宿の近くでは何にも無かった?」


「…私、宿の近くに来て虎侍さんに謝ったんだけどそのとき虎侍さんが顔を逸らして…私、振られたんだろうけどそう思いたくなくて。それでよく分からないうちに宿に入ってここで居たの」


あっれ~?どこでどうなったの?虎君が皐月を振ったなら虎君があんなに落ち込んでる訳ないし。逆なら皐月の落ち込みも違うと思うんだけど。何か蝶結びをした紐を解こうとして、間違えて固結びになっちゃったみたいに見えるんだけど…勘違い?

ここまできて勘違い?そりゃないよ…


「皐月、よく聞いてね。多分皐月も虎君も勘違いしてると思うの」


「え?だって?」


「虎君の性格を考えてみるとあんまり人と顔をしっかり見合わせて喋る子に見えないでしょ?まぁ謝られて顔を逸らすってのもあんまりだと思うけど」


「え?じゃあ」


「多分お互いを想いすぎて、お互い勘違いしたんだと思うわよ」


あ~心配しすぎた。思わず平和よね…って言いそうになったし。ここまで分かっちゃうと脱力ものだわ。


「でも、その…私、本当に振られてたら…」


皐月の目に光が差すが、また曇ってしまう。


「大丈夫よ。何ならしばらく様子を見て今度は、間違わないように虎君に告白しなさい。誰も邪魔なんてしないわよ。きっと」


あ、不安要素言っちゃった。でも大丈夫そうね。その前の告白の部分から後ろは全然頭に入ってなさそうだし。


「そ、それじゃしばらくえっと…虎侍さんの様子を見てそれから……」


あら~また顔が真っ赤になってわね。青春よね~…何か今、あたしもの凄く老けた気がする…


「それじゃあまぁとりあえずこの話は解決ってことで…寝ましょうか?」


「はい」


ふぅっと息を吐く瑠奈。


疲れた……。


誤字、脱字、アドバイス、評価待ってます~!


辛口の感想でもいいですよ~

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