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第十八話

雷聖side...


虎侍と皐月って子が甘い雰囲気を出しているのを背中が痒くなりそうな感じで俺は眺めていた。


あ~何かな~こう、ズバッて感じで終わらねぇかな~いや不幸なほうじゃなくて幸せな方向で。俺はこういう女々しいつうかモジモジした感じはあんまり好きじゃねぇんだよな~頼りないつうかな~


「ねぇ雷聖あの2人いい感じだと思わない?」


確かにいい感じだろうなお前すっげぇ楽しそうだし


「それでね、あの子たちくっ付けちゃわない?」


ほぉ~いいこと考えるね…


瑠奈の誘いに笑みが零れる雷聖だった。


「皐月~、虎君~あたし達ちょっと今後のことで話があるからお酒の飲めるお店でお話してくるねぇ~」


くっ付けるって言っといて方法はほったらかしかよ。まぁあの感じだとそれでもうまくいきそうだな。


雷聖は皐月に金を渡し瑠奈とさっさと宿を出る。


「帰って来たときが楽しみ~」


「あんまり期待してると後から落胆するぞ?」


「そうね~思ったよりも進んでなかったら嫌ね~」


「お前の中ではどこまで進む予定だ?」


「え~っと、床まで?」


ゴツッ


「痛った~!」


「まだ日も高いのに言うことじゃねぇだろ!」


「何も拳骨することは無いでしょ!」


少しずつ回りの視線が集まってくる。


「分かったから早く飲み屋に行くぞ」


瑠奈も視線に気付き顔を少し赤らめながら雷聖の後について行く。

宿からそこそこ離れた場所にある飲み屋に着いた雷聖と瑠奈は早速酒を頼み、再会を喜んで飲んだ。


「それでこれからの予定はどうするの?」


だんだん客が多くなっているのを見ながら酒をチビチビ飲んでいた雷聖に瑠奈が声をかける。


「ん~そうだなぁ~とりあえず組を作る。虎侍にも言ってあるし」


「へぇ~念願の自分の組をねぇ~」


瑠奈は店員を呼び止めて酒をおかわりする。


ちょっと飲みすぎだろ。俺まだ2杯しか飲んでねぇのに…見てねぇ間に6個も杯が転がってやがる……


「お前も前に入るって言ってたからこれで3人だろ?あとは皐月って子がもし入るなら4人…いい感じじゃね?」


「まぁそうね。で、拠点は朝陽と夕陽どっちにするの?」


東と西にある拠点は武人の間では東を朝陽、西を夕陽と呼んでいる。


「それは前から夕陽の方に決めてる。耶漸やぜんさんから組を作るなら夕陽に来いって言われてるし」


「ああ、耶漸さんいい人だしね」


瑠奈はつまみが無くなったので酒とつまみを追加で頼む。


よく飲むなぁ…俺もザルになりてぇ。4杯で潰れるって…


「というかまた耶漸さんの拠点、増築したらしいぞ」


「また?!3ヶ月に1回の間隔で増築してるわよね?」


「ああ、なんでも組の内で恋仲になったやつが子供産んで、耶漸さんも仕事と私事はしっかりけじめをつけて欲しいらしくてな。個別で家を作って出産祝いとして渡してるらしいからな」


「出産祝いで家って…長屋とかじゃなくて?」


「長屋は子供の居ない夫婦か独り身用だとさ」


「へぇ~すごいねぇ~暫く夕陽の主は揺るぎが無さそうね」


「まぁここ10年朝陽も夕陽も主同士うまくやってるし周りの声も批判的なことは殆どないからなぁ。朝陽の方は跡継ぎがよく出来たやつみたいだったし耶漸さんもよくしてるって言ってたし」


「前にそういうこと言ってたっけ?」


「いや、お前と別れて直ぐに歓優さんに会ってさ少し話しをしたんだ」


「ふ~ん、歓優さんって確か菅野 歓優かんのかんゆうさんよね?あの壱番隊の隊長さん。お子さん居たんじゃなかったっけ?」


「ああ、歓優さん。5歳になった子供にいい脇差を贈りたいらしくて自分から礎永鉄を掘りに行くらしい」


「随分手の込んだ物を贈るのね…」


「ああ、因みに奥さんは3人目を身篭っているらしい」


「…3人とも年子になるのね。元気よねぇ~」


今お前が老けて見えたとは言わないほうが俺の身のためだな…


「ところでもう飲まないの?」


ん?いつの間に飲んだんだ?


「じゃあもう一杯だけ飲むかな」


「そうこなくっちゃ!」


瑠奈はまた店員を呼び酒を2杯頼んだ。


「ん~今頃皐月と虎君はいい感じになってるかなぁ~」


流し目で雷聖に言ってくる瑠奈。


「まぁあんまり心配してもな…」


「心配じゃないの?」


「心配ちゃ心配だがあいつらの事だ。俺たちがとやかく言うのもあいつらの為にならねぇ」


「そう言われると…」


瑠奈が納得したような顔で頷いた。


結構酒が回って来たな~これ飲んだら帰るか。


雷聖がそう思っている内にも瑠奈は次の酒を頼んでいた。


「おいおい飲み過ぎるなよ…」


「それはあたしの言葉。この前張り切って飲んで潰れて負ぶわれて帰ったのは誰?」


「う…」


あのときの俺はどうかしてたんだよ…嫌な記憶を掘り返さないでくれよ……


はぁ…とため息を吐く雷聖。そんな雷聖を笑いながら見る瑠奈。


その後雷聖が3杯目の酒を飲み終わる頃には瑠奈はさらに3杯の酒を飲んで計12杯もの酒を飲み干していた。


4倍…


雷聖は軽く絶句していた。


「だって~皐月はまだ飲めないからどうも遠慮しちゃって…でも久々に飲むのもスカッとしていいわね~」


スカッとするために12杯も飲むとか…まぁいいか


「あれ?雨降ってるんだ…」


瑠奈は雷聖が支払いをしているときに戸を開けて外の様子を伝えてきた。


「ん~明日まで振りそうだな…」


「そうねぇ~あ、傘貸してくれない?」


「すみませんこれが最後の1本になってしまいまして…」


店員が申し訳なさそうに傘を1本さしだしてきた。


「ああ、大丈夫よ」


瑠奈は支払いが終わった雷聖の腕に自分の腕を組んで楽しそうにする。


「ありがとうございましたー」


「ふふふ…久しぶりに雷聖と飲んだらいつもよりお酒美味しかったな~」


店員の見送りを受けて瑠奈が楽しそうに言う。


「俺も美味かったな久々だと…」


「そ・こ・はあたしが居たからって言わないと~」


瑠奈が雷聖の腕にもたれかかってくる。


「酔ってるのか?」


「どっちだと思う~?」


これは酔ってるな久々に見た。確か前に見たのはこいつと会ったときだったかなぁ。そのときに巻き込まれて俺も潰されたんだけどな…


「あ、そういえば部屋取るの忘れてた…」


「あ…」


あいつらどうしてんだ…?まさか瑠奈の言った通りに…


「まぁ皐月も虎君も常識を弁えてるでしょ」


それもそうだな。俺もつくづく心配性だ…


宿の近くまで来たときに雷聖見慣れた後ろ姿を見て驚く。


「虎侍?」


振り向くと虎侍は一体いつから居たのか分からない程ずぶ濡れだっだ。


「もしかして最悪の展開?」


瑠奈がボソリと呟く。幸い虎侍の耳には入っていないようだ。


「とりあえず虎君お風呂に連れて行ったほうがいいと思うけど」


瑠奈が耳打ちをしてくる。よく見ると虎侍の顔色が随分悪い。


これは…詳しく聞くのは止めたほうがよさそうだな…


「虎侍さっさと温まって寝るぞ」


雷聖は瑠奈に傘を預けて虎侍の元へ向かう。


杞憂ならいいんだがな…


来週の更新少し遅れるかもしれません。出来るだけ遅れないようにしますが少し危ういです;;

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