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第十四話

瑠奈side...


「今日は何をしようかなぁ~皐月は何がしたい~?」


「私は特にしたいこと無いよ」


はぁ~この2週間ずっと同じようなこと言ってるな~最初はこの町に新しい呉服屋が出来たから来たのに3日で飽きちゃったし…でもネハツリームで1ヶ月の方が辛かったかも…何にも発展がないのにお金だけが減っていく日々…まだお金に余裕があったからよかったけど下手すれば宿無しになるところだったし…あー!!!思ってるだけで嫌になってくるぅぅぅうううう!!!!!早く帰ってこーーーーい雷聖のバカーー!!!!


少し溜まったものを発散させ幾分気分がよくなる。


「じゃあ、今日は木目の観察でもしようか…」


「う…うん」


気分がよくなってもすることも無く無駄な出費は抑えたいため部屋で過ごすことになる。



しばらく部屋中の木目を見ているとトントンと部屋の戸を叩く音がする。


「どうぞ~」


返事をして戸を叩いた主に入室を促す。


「深那月さん。赤い毛、強面の旦那を見つけました確認はしてませんが多分その人かと」


この町に来て直ぐに頼んだ情報屋に雷聖ぽい人を見かけたら直ぐに知らせるように頼んでおいたのでそれの知らせに来てくれたのだろう。ネハツリームでも同じように伝言を頼んでおいた。お金はかかるが大きい町を毎日回るのも嫌なのでこの手の商売は大きい町ほど多い。


「そう!ありがとう!皐月行くよ!!さっさとあいつに蹴りを入れないと気がすまないわ!!」


町の中で危険は殆ど無いので雷聖に最高の蹴りをするためにお気に入りの薙刀は置いていく。皐月もかさばる弓は置いていき剣だけを腰に差して準備は出来ている。情報屋もそれを見て案内のために先に行き、瑠奈と皐月は後に続く。



「あの人ですよね?」


「ええ、そうよ。ありがとう。これ報酬の分ね」


「毎度ありがとうございます。またご利用ください」


情報屋はそれではと言って去っていった。今、瑠奈と皐月は雷聖の背後にある家の角で身を隠している。雷聖の周りには人はいないことを確認して周りに被害が無いようにする。


くふふっ。さぁ~て雷聖のどてっ腹に一撃入れてやる~


そして瑠奈は勢いをつけて走り出す。


「らーーーいーーーーせーーーーぃぃぃぃいいいいいい!!!」


雷聖が振り向く動作を見て直ぐに勢いをつけたまま飛び上がり両足を揃える。そして両足に感触が広がる。


「ゲフッッッ!!!!!」


ああ!いい感触っ!!!でもこのまま着地するとあたしが危ないわねっと!!


雷聖の腹を台にして着地地点をずらす。


「ブフェッ!!」


ドサッ!

ズシャーッ!


スッキリしたー!!!!!!とりあえずヨナジャグでの2週間分の鬱憤は無くなったわね~


「お前!何しやがる!!!」


ムカッ!やっぱり2週間分は重いわね!


「な~に~がっ!何しやがるよ!!それはこっちの言葉よ!あたしをほって勝手に2ヶ月もほつき歩いて!!おかげであたしは1ヶ月!ネハツリームで待ちぼうけよっ!!!ヨナジャグでももう2週間経ってるし!!!!このバカ雷聖っ!!!!」


このあと皐月が言い合いを止めてなければ実力行使をする勢いだった2人だった。

そして皐月が雷聖に同行する許可を交渉し、雷聖は少し悩んで許可した。


あたしが大丈夫だって言ったのに律儀な子ねぇ。


「あ、そういえば俺のほうにも1人連れがいるんだ。橘 虎侍っていうんだ」


いきなりの爆弾発言。


「え?あんたが連れてきたの?」


思わず聞き返してしまう。


「そうだ。悪いか?」


悪いも何もねぇ~?


「へぇ~珍しいこともあるもんねぇ~」


天下の孤高の赤獅子がねぇ~虎侍なんてもの凄い強そうな名前だしすっごい期待しちゃうな~


「まぁそこそこ強いやつだから旅には支障ないぞ」


「へぇ~あんたが惚れるぐらい強いんだ~楽しみ~どんな大男かしら」


きっとムキムキで化け物じみた大きな剣を使うんだろうな~


「いやガキだ。多分14、5ぐらいどちらかといえばひょろいぞ」


思わずこけそうになる瑠奈。


「他に情報無いの~?ってゆうか前に言ってた雷聖の強い基準ってガッチリしてて30代前半あたりって言ってたじゃない真反対よ?」


「それでも強かったんだよ。悪いか?」


「べっつに~」


雷聖がそう言うなら強いみたいだけどちょっと心配…


「あとは記憶喪失だ!」


心配が的中!!!!


「あんたなんて危ない状態の子供を連れてるのよ!!元のところに返してきなさいよ!!」


「まぁ本人が何も文句を言わねぇからいいんじゃね?」


なんでこんな無責任なことが言えるのよ~


瑠奈はガックリと肩を落とす


「記憶が無くて分からないから文句を言わないんじゃないの?」


「……それもそうかも」


はぁ~っとため息を零す瑠奈。


「で、その虎君はどこ?」


もうあたしの中じゃ迷子の虎君ね…


「刀が折れたんで鍛冶屋に置いてきた」


本日2度目の爆弾が炸裂。


「はぁ!?あんたバカ?何にも分からない子を普通置いてくる?!!」


「それもそうかも。まぁ大丈夫だろ喧嘩吹っかけたりするようなやつじゃないし」


迷子の虎君が吹っかけなくても駄目なのに!!!あーもうこのバカ雷聖!!


「バカッ!最近この町の不良が随分でしゃばって昼でも治安が悪くなってるのよ!」


「なっ!知るかよ!俺は今日着いたばかりだぞ。情報仕入れる暇なんてねぇし!!」


少しぐらい町の様子を肌で感じなさいよ!!こんな昼間なのに町の人の怯えが感じられないなんて!!訛ってるわ!むしろ腐ってるわ!!


「とにかく虎君のところまで行くわよ!!」


あたしはとりあえず鍛冶屋のある方向に向けて駆け出す。


後ろから雷聖と皐月が追ってくることを感じながら瑠奈は何も無いことを祈りながら走る。



十数分走り鍛冶屋の近くまで来る。鍛冶屋は火気が多いせいで町の中心から距離を置いて店を構えるため旋術を使っても意外と遠い。

あと住宅地の角を3回曲がると鍛冶屋が見えてくると瑠奈は思い角を曲がると。4人の大男に囲まれている少年が居た。


「一言も喋らねぇとはいい度胸じゃねぇかああ?!」


まさに一触即発。


「げ…虎侍…」


追いついた雷聖が呟く。


あ~なんで予想通りに絡まれてるのよ~


「ちっ!!やれ!」


4人の大男たちが一斉に襲い掛かる。


「ちょ!!!…」


瑠奈は止めようと駆け出すが大男たちの中心に居た虎侍の姿が一瞬にして消える。

虎侍は旋術を使い大男たちの中心から脱出していた。


「ぐぁ!!!このガキ!!!!」


大男たちは互いにぶつかり合い振り向いて虎侍を睨む。


「死ね!!!」


直ぐに虎侍に殴りかかった大男の1人は虎侍が殴りかかってきた勢いを利用して2、3メートル投げられ背中を打ちつけ悶絶する。次に2人同時に殴りかかる。


「おらぁ!!!」


「でぇやぁ!!!」


虎侍は今度も勢いを利用して2人の首に腕を引っ掛け後ろ向きに倒す。2人は白目を向いて気絶する。


「こいつ!!!」


最後の1人は2人を倒した虎侍が無防備になった瞬間を狙って腰に差してある剣を振り下ろす。だがそこに虎侍は居ない。


「なっ!!!どこに!!」


男が驚き周りを見回すそのとき虎侍は振り下ろした男の腕の下に移動して無防備な男の顎に手掌を放つ。男は2人の男と同様白目を向き倒れる。

虎侍は全くの無傷で4人の大男を圧倒した。最初に背中を殴打した男は悲鳴をあげて他の3人を置いて逃げていった。


へぇ~強いわね…


瑠奈は駆け出そうとして虎侍の強さを感じ傍観に回っていた。


旋術であれだけの速さで戦うやつはあまり居ないわね。ああいう速さに重点を置いてる子はどこかで自分の速さが怖くなって無意識のうちに抑制されてるものだし、あの速さで相手に突っ込む度胸なんて自分も巻き込まれる可能性だってあるはずなのに…本物かバカか…いくら記憶喪失でも見極めどこが肝心ね。


「虎侍!!大丈夫か?!」


雷聖の言葉を聞いた虎侍が瑠奈たちの方を向くと首あたりに見えていた包帯に血が滲んでいた。


「あ~、結構派手に動いたから傷が開いちまったか。医者に行くか」


虎侍はコクリと頷く。瑠奈がじぃ~と虎侍を見ていることに雷聖が気が付き。


「虎侍、この2人が一緒に旅をする深那月 瑠奈(みなつきるな)早乙女 皐月(さおとめさつき)だ。瑠奈、皐月こいつがさっき言ってた虎侍だ」


「…よろしく…」


さっきの大男4人を圧倒した同一人物だとは思えない覇気の無い声にこけそうになる瑠奈。


ええ?!これがさっきの子?!!あ~この無口、無表情はあたしちょっと苦手かも…どう話しかければいいのよ~~!!


「で。虎侍、刀の方は大丈夫だったのか?」


虎侍は首を横に振り


「新しく…仕立ててもらう…」


「そうか、どのくらいかかるんだ?」


「…5日」


雷聖はそうかそうかと言い町の中心にある診療所へ歩いていく。


ああするのか…でもあたしには少し無理があるかも…皐月だけならなんとかなると思ったけど虎君みたいな性格の子の方があたしには大変かも…


瑠奈ははぁーとため息を吐きながら皐月と一緒に雷聖と虎侍のあとに着いていく。


個性がうまく作れない;;明日も1話アップする予定です。

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