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はじまりの始まり 9

 驚いてキョロキョロしているゆりと章に春彦は

「俺はこのまま西に行きますけど」

 お二人は戻った方が良いと思いますよ

「東と西が断線したのかもしれない」

 と告げた。

 

 ゆりは驚いて

「え?断線?何それ?」

 と言い

「それに西に行くって……どこに行くつもりなの?」

 新幹線に乗ってるってことは結構距離あるよね?

 と聞いた。

 

 その時、作業員が階段状の救助用の作業車を新幹線の横につけて

「現在運行していた新幹線全てが停止しシステムの指示が滞りました」

 復旧のめどはついていないので最寄りの駅まで徒歩での移動をお願いいたします

「現在地ですと渋谷か新横浜かになります」

 と告げた。

 

 三人は順番に従って車内を出口に向かって足を進めた。

 誰もが不安そうに話をしている。

 

 ゆりも章と顔を見合わせて

「取り敢えず土方君たちのところへ戻った方が良いかも」

 彼らが何かしたかもしれないし

 と告げた。

 

 章は頷いて

「そうだな、この状態じゃ京都へいけないしな」

 と答えた。

 

 そして、列車から降り立ちゆりと章は春彦を見た。

 ゆりは心配そうに

「西へ行くって言ってたけど……何処まで行くの?」

 一人じゃ危ないよ

 と告げた。

 

 春彦は笑むと

「ありがとう」

 と答え

「新横浜から車で西へ行くようにする」

 と告げた。

 

 章は息を吐き出し

「気を付けろよ」

 と告げた。

 

 止めても無駄だと分かったからである。

 ゆりは「ちゃんと辿りつけるように祈ってるからね」と言い

「何処までかわからないけど」

 と手を振った。

 

 春彦は手を振って応えながら

「九州までー」

 行ってくる

 と新横浜へと足を向けて歩き出した。

 

 ゆりと章は顔を見合わせると

「「九州―!?」」

 と思わず叫んだ。

 

 春彦は足を進めながら頭上高く広がる空を見上げ

「東日本はきっと今転換したんだ」

 なら

「俺が変えなければならないのは……西日本だ」

 と呟き強く足を進めた。

 

 AI政治システムによって人が生きているという考え方が歪んだ世界を人の世に戻すために。

 

 しかし、その西の空には太陽の姿を覆い隠す暗雲が広がっていたのである。

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