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名探偵の系譜  作者: 如月いさみ


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急転直下 7

颯希は朦朧とする意識の中で黛和斗に手を伸ばすと

「い、かせない」

と呟いた。


黒崎暁を探しに来たのだ。


自分が出雲にいたのにあの直後にここに引越ししたことをAI政治システムから調べて疑惑を持ったのだ。


有馬伊織は立ち上がって颯希の元へと駆け寄った。

車にぶつかった衝撃で腕から血が流れている。


黛和斗は有馬伊織を蹴り、颯希の襟をつかむと

「黒崎暁をだせ!」

あの女を

「死にたいのか!」

と叫んだ。


ハルヒは駆け寄ると黛和斗の手首に手刀を食らわせた。

黛和斗は腕を抑えると

「きさま」

と睨んだ。


ハルヒは蹲った黛和斗を見下ろし

「黒崎零里が『理想は潰えた』と言ったのはお前の両親を含めてもうJDWの頃には権威主義が蔓延り平等という理念は腐りきっていたってことを理解したからだ」

と告げ、颯希を守るように前に立った。

「有馬くん、颯希を頼む」


有馬伊織は立ち上がると頷いて颯希を抱き上げた。

周囲では監視用ロボットが旋回しているが黛和斗を報告する様子はなかった。


黛和斗は腕を抑えたままハルヒの襟をつかむと

「お前のようなガキが何を言っている」

駒のくせに

と告げた。


ハルヒは黛和斗を睨んだまま

「駒じゃない!」

俺も颯希も…誰もが人間だ

「己の欲を抑え守るべき区域の繁栄と安全に心を砕くことが出来なければ何れは崩壊する」

必ず

と告げた。

「AI政治システムのただ一つの頂点を目指したところで君はその器じゃない」

我欲塗れである限り


有馬伊織も海埜みやびも柄本聖也も二人を見つめていた。


黛和斗はハルヒの首を絞めた。

それに海埜みやびは足を踏み出すと

「やめなさい!!」

と叫んだ。

「緊急通報しますよ!」

そう言って携帯を手にした。

が、黛和斗は笑うと

「俺は罰せられない」

分かるか?

「ただこのガキという駒が壊れただけという認識になるだけだ」

と告げた。


それに全員が唇を噛んだ。

その時、扉が開き

「やめて!」

と黒崎暁が姿を見せたのである。


ハルヒは驚いて

「出るな!」

と叫んだ。

が、彼女は微笑むと首を振り

「だめ、もうこれ以上…あの人と同じ目に合う人を作りたくないの」

と言うと

「黛さん、彼らにもう関わらないで」

貴方についていきます

と黛和斗の元へと進んだ。

「今すぐいかないのなら…私はまた逃げます」


黛和斗はにやりと笑うとハルヒを壁に向かって投げ

「行こうか」

と車をバックさせると彼女を乗せて走り出した。

そして車の中で

「ロボットの人への攻撃を解除したら奴らを先ず血祭りにあげてやる」

と呟いた。


ハルヒは咳き込みながら立ち上がり、颯希の方へと駆け寄った。

「颯希!」


颯希はふわりと目を開けると

「猫くん…良かった…無事で」

と言うとそのままクッタリ意識を失った。


ハルヒは彼らに

「今から那須幸二の家に颯希を連れて行く」

と携帯を出して那須幸二に電話を入れた。

「颯希が車に跳ねられて…直ぐに医師の称号を持つ人物をそちらに呼んでくれ」

今から向かう

「頼む!」


那須幸二は携帯を切ると直ぐに管理しているホテルに電話を入れると常駐している医師の称号を持つ人物を呼び寄せた。


空には暗雲が広がり、梅雨入りのように雨が降り出したのである。


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