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名探偵の系譜  作者: 如月いさみ


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急転直下 6

颯希は少し戸惑いながらも真っすぐ前を見つめて

「私は人が人として生きていける世界が良いかな」

推奨以外の称号を選んだら野垂れ死ぬ生活とか

「推奨の称号を選んでもレベリングばかりで私…猫くんに合うまで人の顔を見てなかった気がする」

それに誰かが殺されても殺した人がペナルティを受けることすらないとか

「そして次の人探すって言葉で終わる世界はいや」

と告げた。


海埜みやびは笑むと

「私も人が人として生きられる世界を選ぶわ」

と告げた。


柄本聖也も彼女を横目で見て

「俺も同じで」

と告げた。


有馬伊織は肩を竦めて

「俺はこれから誰か女性と3年間子供を育てることになるんだったら」

やっぱり俺はそう思える相手と共になりたい

と告げた。


ハルヒは腕を組んで

「なるほど」

と呟いた。


ただ。

懸念がないわけではない。

那須幸二のようにAI政治システムを『絶対に破壊』したいというところの意志まではないのだろうと感じたからである。


彼の場合は親友を失い、その後のシステムのやり方に痛烈な憎しみを覚えたからである。


何かを成し遂げるためには強固な意志、貫き通す意志、それらが必要なのだ。


それらを彼らが今持ち合わせているとは思えなかったのである。

それでも時間が永遠にあるわけでもない。

黒崎暁の存在が何時までも隠せるとは思えなかったからである。


ハルヒは決めると

「海埜さんに柄本さん」

と呼びかけた。

「実は頼みがあるんだけど」

極秘で


それに二人は顔を向けた。


ハルヒは頼みごとをすると

「じゃあ、俺との話はもう良いかな?」

とにっこり笑った。

「あとは颯希と皆で楽しんで」


そういうとパタパタと自分の部屋へと向かった。


それを見送り有馬伊織はハフゥと息を吐きだすと

「12歳の子供だけど…本当に凄く大人って感じだな」

と呟いた。


海埜みやびも頷いて

「そうね」

でも当然かもしれない

と答えてハルヒが去っていった方を見た。


颯希は彼女を見ると

「その番人って…ずっと生きているの?」

リライフって生を繰り返すってことでしょ?

と聞いた。


海埜みやびは悩みながら

「詳しくは分からないわ」

それは猫ちゃんに聞かないと

と告げた。

そして、柄本聖也を見ると

「何故必要なのか分からないけど…約束した以上は早く作らないといけないわね」

と立ち上がった。

「一色さん、また遊びに来るわ」

猫ちゃんにもまた話を聞きたいし

「それから有馬くんもまたこうやって4人で話しましょう」


柄本聖也も立ち上がり

「ああ、また頼むな」

と告げた。


颯希は頷いて

「わかった」

よろしくね

と言い立ち上がり

「有馬くんはどうするの?」

と聞いた。


有馬伊織はう~んと考えると

「お開きみたいだし、俺も家に戻ることにする」

と告げた。

「また俺も邪魔するから」

そう言って立ち上がった。


4人は玄関に向かって歩き家を後に門を出た。

その時であった。


一台の車が突っ込んできたのである。


颯希は慌てて

「危ない!」

と叫ぶと有馬伊織を押し退けた。


柄本聖也も海埜みやびを抱いてその場から飛び退いた。


激しい音が響き、ハルヒは慌てて駆け下りると息を飲み込んだ。

「颯希!!」


車の中から1人の男が降り立ち颯希を見下ろした。

「お前のことは調べた」

邪魔をすればAI政治システムには向かったとして抹殺命令を出してやる


ハルヒは睨むと

「黛和斗」

と男の名前を呼んだ。


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