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名探偵の系譜  作者: 如月いさみ


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58/70

急転直下 3

まして、今この社会を支配しているシステムと対峙しようとしているのだ。


簡単なはずがない。


ハルヒは那須幸二の顔を見ると笑みを浮かべ

「だが、大丈夫」

必ずAI政治システムを破壊する

と告げた。


那須幸二はハルヒを見つめ

「その、貴方のホームグランドである九州は唯一旧システムの状態で保っている」

なのに何故西日本のこのシステムを?

と聞いた。


ハルヒは幼い顔に大人の憂いを浮かべると

「このシステムの支配は…俺のせいだからだ」

と答えた。

「俺の兄はJDWがAI政治システムを稼働させるときに邪魔になる政財界の人間を一気に粛清した際に命を落とした」

殺された

「俺は九州の友に今は堪えて九州にとどまるように言われたのに本土に上った」

その時にこの名古屋にいた友を巻き込んで死んだ


那須幸二は驚いて彼を見た。


ハルヒは彼を見て

「その時に巻き込んで死なせてしまったのが…一色颯希の祖先だった一色一颯だ」

と告げた。

「旧システムは番人を二人とも一時的に失って空白期間を作ってしまった」

その間に新AI政治システムに封印されたんだ


…それが100年ほど前の話だ…


ハルヒは足を踏み出し

「それでもそのシステムが本当に良いシステムだったら俺はそのまま存続すれば良いと思っていたが」

と笑みを浮かべた。


那須幸二は彼の小さな背中を見つめ

「そのシステムは人を人として扱わない…社会機構を維持するだけのものだった」

と告げた。


ハルヒは頷いた。

「だから、破壊する」


那須幸二はハッとすると

「その、子供については」

と聞いた。


彼女のお腹にいる子供は大切な親友の子供なのだ。

だが、彼にしたら兄の仇であり彼自身や彼の親友を殺した存在の末裔でもあるのだ。


ハルヒはそれに

「俺の復讐は憎しみをぶつけるだけのモノでも誰かを殺したりするものじゃない」

まして彼女も被害者だし

「今回の計画の協力者でもある」

と告げた。

「黒崎零里はあの襲撃後にAI政治システムに変更をかけて直ぐに自殺している」

親友に一人娘を託して

「『理想は潰えた』と書き残していたそうだ」


彼は本当に平等を夢見ていたのかもしれない


ハルヒは地下室から出ると降り注ぐ窓からの陽光を受けて

「俺の復讐は…社会を人間と言う生命が活動する場所に戻すことだ」

と告げた。


那須幸二は大きく目を見開いて涙を落とすと

「俺の復讐は…」

と呟いた。


親友を殺された復讐。

それをあの時、彼女を責めた。


彼女が妊娠していなかったら…恐ろしいことを考えたかもしれない。


ハルヒは彼を見ると

「君の気持はわかる」

だがそれで親友を失った気持ちが晴れるとは俺は思わない

「それ以上に彼女を手にかければその罪で更に君自身が苦しむだけだ」

と告げた。

「彼女も苦しんでいる」

今の君ならわかると思うけど?


那須幸二は微笑み

「わかります」

と答えた。

「俺も今は友の死をモノのように扱ったAI政治システムの破壊に力を注ぎます」


ハルヒは頷いた。


その日の夕方にハルヒが自宅に帰ると颯希が帰っており

「相変わらずほっつき歩いてるね」

猫くん

と言い

「明日は出ないでほしいんだけど」

高校の友達が3人来るから

「猫くんに会いに」

と告げた。


ハルヒは台所で夕食の準備をしている黒崎暁を一瞥して直ぐに颯希に視線を戻して

「俺に?」

何故?

と呟いた。


颯希はにっこり笑うと

「それは~秘密」

と答えた。

「明日よろしく」


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