新しい時代への仲間 4
女性は倒れている男性を指さし
「わ、私が運んだお茶を飲んだ途端に…急にふぅと倒れてしまって」
と告げた。
颯希は頷くと一緒に来た有馬伊織を見て
「有馬くん、ごめん」
彼女をお願い
と言うと男性の方へと駆け寄り仰向けにすると口元に耳を寄せた。
…。
…。
「生きてる」
寝てるわ
有馬伊織と女性は同時に
「「え?」」
と顔を向けた。
そこへ遅れて駆け付けた海埜みやびは
「…え?死んでいるんじゃないの?」
とそこにいた全員の言葉を代弁した。
柄本聖也は息を吐きだすとツカツカと颯希のところへ行くとぐったり眠っている男性を抱き上げて
「とりあえず医務室だろ?」
と冷静に告げた。
それに颯希は頷いた。
「お願いします」
えーと…名前知らないさん
柄本聖也は目を細めて
「俺の名前は柄本聖也だ」
それであそこのお嬢さんが海埜みやび嬢な
と言い歩き出した。
「海埜さんは戻っとけ」
海埜みやびはにこやかに笑むと
「あら、どうしてこうなったか」
名探偵の一色さんが解き明かしてくれるのよ?
「興味あるわ」
と答えた。
颯希は「え?この居眠りの謎を?」と告げた。
海埜みやびは頷いて
「だって、配信している最中に先生がコテンキューって寝るなんて」
ないでしょ?
と告げた。
颯希と有馬伊織は同時に
「「確かに」」
と呟いた。
柄本聖也は息を吐きだすと
「ったく、勝手にしろ」
と言うと医務室に向かって歩き出した。
颯希は盆を手にしている女性に歩み寄ると屈んで
「その状況を詳しく教えてもらえますか?」
と聞いた。
「お茶を持ってこられたんですよね?」
お盆と机の下に転がっているお茶を見たら
「貴女がお茶を運び、それを口にしたあの人が突然眠ったという流れだと思うんですけど」
と告げた。
女性は頷いた。
「はい、配信中はあまりないことなのですが」
喉の調子が悪いのでお茶を持ってきてほしいと
「でも私は眠り薬とかは持ってきていないです」
確かに睡眠薬を持ってきて飲ましておきながら悲鳴を上げるようなことはしないだろう。
だが彼女が持ってきたお茶が原因の可能性は高い。
颯希は床にこぼれているお茶を手に
「とりあえずこのお茶の成分を調べるしかないわね」
と告げた。
それに有馬伊織が携帯を出して
「じゃあAIシステムに緊急通報して頼むしかないよな」
と告げた。
颯希は頷いた。
「お願い」
この後だ。
彼女は腕を組むと
「いつもは猫くんがいたけど…今はいないわね」
とムムッと考えた。
実際、まだまだ未熟ものなのだ。
レベルが3になったのはハルヒの力によるものが大きいのだ。
海埜みやびはじっと見つめていた。
颯希は視線が痛いと思いつつも携帯を出すとハルヒに連絡を入れた。
ハルヒはちょうどパソコンを弄っている最中で携帯のバイブに手を伸ばすと
「まだ案件募集中で入ってないけど」
と颯希に告げた。
が、颯希は慌てて
「あ、いや」
いまこっちで先生がお茶を飲んで急に寝入ってしまうということがあって
「お茶の成分をAIシステムに緊急通報して調べてもらうようにはしたんだけど」
その後何を考えたらいいかと思って
と告げた。
ハルヒは目を閉じると
「うん、一色は完ぺきな探偵だったけど…颯希はまだ駆け出しだし」
と心で突っ込み
「お茶を飲んで意識を失ったというのならお茶の原因が高いかも知れないけど他の可能性もあるので他に可能性があるものがないかを調べる必要があるので周囲に常にないものがあるかをみる」
一応写真撮っておいて
「それ一応現状保存が第一だから他の人を近付けないことな」
あ、緊急通報したなら被害者の血液とか…あとは…状態とかも調べてもらうように
と言い、颯希が「わかった、とりあえず周辺の写真を撮るだね」と答えると
「次にお茶がもともと何処にあってどんな風に被害者の手に辿り着いたかを調べる」
と告げた。
颯希はメモを出すと取り出した。
「そうね、わかった」
ハルヒは少し考えて
「それが終わったらもう一度電話して」
とりあえず案件募集は止めとくから
と告げた。
颯希は頷いて
「ありがとう、猫くん」
と携帯を切った。
立ち上がりかけて、足を止めた。
海埜みやびが携帯を手に
「この周辺を写真で撮ればいいのね」
と告げた。
「写真は手伝うから続けて」
颯希は目を見開き笑みを浮かべると
「ありがとう、お願いするわ」
と言い、女性に向き直り
「あの、そのお茶をここへ運ぶ経緯と何処からお茶をどんなふうに持ってきたか教えてください」
と告げた。




