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名探偵の系譜  作者: 如月いさみ


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新しい時代への仲間 2

ハルヒから黛土地開発会社の社長である黛和斗という人物が西日本の人間とロボットを総替えしようとしている可能性があると聞き、颯希は

「え!?それでどうしたいいの?」

と腰を浮かして聞いた。


ハルヒは冷静に

「今は黒崎暁さんを守りつつ」

同じ気持ちの仲間を集めること

と言い

「とりあえず、颯希は学校へ行って」

人脈を作ることかな

「友を作ること」

と告げた。

「良い友達は…人生を豊かにしてくれる」

そう言って微笑んだ。


颯希は時折見せるハルヒの表情に自分の知らない長い時間が彼の中にあるのだと感じた。

そして、いつか

「猫くんのことがもっともっとわかるようになるかなぁ」

私もあんな何か優しい表情で思い出す記憶ができるかなぁ

と思ったのである。


颯希は食事を終えると欠伸をして

「あ、学校には行くけど」

明日は寝させて

「もう、眠い!」

一昨日から頑張った

と告げた。


ハルヒは笑って

「だね」

と答え

「おやすみー」

と手を振った。


颯希はうんうん頷いて手を振って自室へと向かった。

「あ、黒崎さん」

ご飯ありがとう

「ごめんね」


黒崎暁は微笑むと首を振って

「いえ、私の方こそ」

ありがとうございます

と頭を下げた。


二日後の朝から颯希はタブレットをカバンに入れて新しい学校へと登校することになった。

名古屋高校である。


颯希とハルヒの家から高校までは徒歩15分ほどで、颯希は高校の門の前に立って目を見開いた。

「で、かい」


立派で大きな校舎に多くの生徒。

颯希が今まで通っていたおんぼろの掘っ立て小屋のような校舎とは雲泥の差であった。


颯希はドキドキしながら足を校庭に踏み入れて校舎へと向かった。

その間にも様々な生徒が校舎の中へと入っていき、それぞれの教室のそれぞれの席に座った。


颯希もまた2階の2年生のB組の教室に入って一番窓際の席に座った。

横を向くと窓の外に一面の青が見える。

反対側には名古屋城が見えるのだ。


颯希が考え事をしている間にも何人かの生徒が席についてタブレットを出していた。


チャイムと共にタブレットを介した授業が始まり颯希も流れてくる英語を耳に画面を見た。

颯希の存在は名古屋高校の2学年ではちょっとした注目の的となっていた。

と言うのも、彼女が編入してきたからである。


AIシステムが政治を行うようになってから人の生き方はある意味において画一的になっていた。


推奨された称号から一つ称号を選びそれをレベリングしていく。

それが生活の基盤を構築する。

食べ物。持ち物。

そして、居住区域である。


つまり、称号を選択すると殆どの人が住む場所を変えないのだ。

変えたとしてもそれは13歳の二回目の適性検査と20歳の適性検査の時くらいだろう。


特に13歳から20歳の間はそれほど急激にレベルの変更がないので移転と言うのは大体が20歳以降である。


つまり17歳で出雲から名古屋へやってきた颯希はイレギュラーな存在と言えるだろう。


そんな颯希に興味を示す人物が颯希の授業を受けている2年B組の教室の中でも少なくとも3人は存在していた。


多くの生徒は『気にはなるが…』であった。

AIシステムの元では他人に対する興味や好奇心が湧いたとしてもそれを持続することは難しい。


最終的には『レベリング』なのだ。

言ってしまえば、生活をよくするために今の人間は『ただただレベリングをする』という考え方になり人との絆だとか人との関りだとかに興味を示さない思考になっていた。


なので、颯希に対して『気になる』と意識を向け続けている3人はイレギュラータイプと言えばイレギュラータイプであった。


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