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名探偵の系譜  作者: 如月いさみ


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那須家の後継者 その10

そのホテルに明け方までいくつかの影が張り付いていたことを颯希は知らなかったのである。


颯希は朝起きると携帯でハルヒに昨夜のことを伝えた。

ハルヒはそれを聞くと

「じゃあ、合流はなしで」

颯希は三河安城へ行って散策して

「見張りが離れてから那須家で落ち合う形でいいかな?」

と告げた。


颯希は頷きつつ

「そっちは大丈夫?」

と聞いた。


ハルヒは頷いて

「颯希が引き付けてくれていたら大丈夫」

と言い身体を起こした女性を見た。


そして携帯を切ると

「…黒崎…って苗字だよね?」

と聞いた。

「改新の黒崎零里の…末裔」


彼女は驚いて逃げかけた。

が、ハルヒはそれを止めて

「君に何かするつもりはない」

と言い

「あそこで何があって…あの黛とどういう関係か知りたい」

と告げた。


彼女は目を見開いて両手で顔を覆い泣き出すと

「助けて」

とうずくまった。


ハルヒは冷静に彼女を見つめ

「…君を何かするつもりはない」

ただあの村で黛が何をしようとしているか知りたい

「大量のアンドロイドを使って」

と告げた。

「教えてほしい」

俺は黛に敵対する人間だ


彼女は顔を上げてハルヒを見つめた。


ハルヒは彼女を見て

「俺は島津春彦…もともとは九州の人間だ」

と告げた。


彼女は息を飲み込むと

「島津…はるひこ…さん」

と言い、両手を組み合わせて微笑むと

「私は、黒崎暁と言います」

貴方が仰る通り黒崎零里の血を継ぐものです

と告げた。

「あの村は…プロトタイプです」

人間を介しない社会機構の構築の

「わ、わた…私は…望んではいなかったのですが」

そんな人のいない社会で世界を手に入れても何の意味もない

「いえ、世界を手に入れるなんて恐ろしい」

なのに黛はそんな恐ろしい夢を見ているんです

「ただ表面的な禁忌を解除するのに黒崎のDNAが必要だったのです」

だから私を

「黛の先祖はJDWの時に一族にだけの特権を入れていたのです」

黒崎のDNAにも


ハルヒは目を細めて

「…なるほど」

と呟いた。


恐らくそれで逃げ出したのだろうと判断できた。

だとすれば、今、黛の人間は血眼になって彼女を追っているはずである。


ハルヒは考えて

「君がもし、本当に黛とAIシステムから呪縛から逃れたいと思っているのなら力を貸してほしい」

と告げた。


彼女は頷いた。

「AIシステムを破壊してくれるのなら…どんなことでもします」

お願いします

「私を…そして、私の子を自由にしてください」


ハルヒは目を見開くと

「子、ども?」

と聞いた。


彼女は小さく頷いた。

「愛する人との大切な子供」

愛する子供

そう微笑んだ。


ハルヒは息を吐きだして笑むと携帯を手に那須幸二に電話を入れた。

「那須さん、実は匿いたい女性がいるんだけど」

AIシステムから追われている女性だ

「車で直ぐに迎えに来てほしい」

いま颯希が彼らの目を引き付けているから

「今の内なら何とか移動できる」


那須幸二はそれに

「わかった」

と答えると

「どこですか?」

と聞いた。


ハルヒは「猿投の温泉宿」と答えた。


那須幸二は携帯を切ると直ぐに車を運転して猿投の温泉宿へと向かった。

それまでハルヒは彼女の髪を切り颯希のように変装させたのである。


那須幸二は思っていた以上に早く温泉宿へと姿を見せた。

1時間ほどで姿を見せたのである。


そして、部屋に入りハルヒと共にいる黒崎暁を見ると目を見開いた。

「黒崎…暁…」


顔をしかめて睨むとハルヒを見て

「彼女を…俺は救えない」

と顔をそむけた。


黒崎暁は目を見開き

「那須君…何故?皐月君は?春義と会いたいの」

と手を伸ばした。


那須幸二はその手を払うと

「貴様が言うか!!」

と怒鳴った。

「皐月を殺したのは…お前だろ!」


黒崎暁は震えると

「殺、した?」

何故?

と彼を見つめた。


ハルヒは冷静に

「那須さん、彼女は…妊娠している」

と告げた。

「恐らくその皐月と言う人物の子供だと俺は思うが」


那須幸二は驚いて彼女を振り返った。


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