那須家の後継者 その3
妻越ハルヒは美少年系の顔をしている。
だが、那須幸二は好青年系の容貌をしている。
颯希は二人を交互に見て
「何か知らないけど一瞬のうちに口裏合わせたな」
と心で突っ込みつつ
「初めまして…確かに私が探偵の称号を持つ一色颯希です」
と答えた。
せっかく猫くんの正体がわかるところだったのに、チッと颯希は思わず心で舌打ちした。
那須幸二は埃を払いスーツを整えると
「実はお二人に依頼があってきました」
と告げた。
それに颯希とハルヒは顔を見合わせた。
颯希は食事を終えたところの食器をシンクに置いて那須幸二を中へ招き入れ
「どうぞ」
と告げた。
狭い6畳半程度の部屋の中にお膳が置かれている。
掃除はされているが建物自体が古いので壁の色も床もくすんだ色をしている。
そこにビシッと決めたスーツを着た男性が正座した。
颯希は正面に座り
「…つくづく似合ってない」
と心で突っ込んだ。
ハルヒはちらりと颯希を見て、それから那須幸二を見た。
「それで、依頼とは」
それに那須幸二は周囲を見回した。
ハルヒは冷静に
「ここにAIの見張りはないよ」
と告げた。
颯希は驚いて
「えぇ?」
そんなものあるの??
と聞いた。
ハルヒははぁとため息を零して
「あるよ」
でもある程度末端になるとないよ
「ありていに言えば『そこまで見張るレベルに達していない存在』ね」
と答えた。
「でも那須さんは見張られてる」
那須幸二は頷いた。
そして、一枚の紙を置いた。
「この道の駅だが収益管理をしていた」
近くの村は半数が限界集落で実際に取引しているのは6村の内の3村だった
「だが三か月前からこの村が取引を始めた」
それが一番取引の多い村よりも多い
颯希はフムフムと頷き
「それで?」
と聞いた。
ハルヒは冷静に
「誰もいない村に人が突然大量に住み始めた」
と告げた。
「そういうことだよね?」
那須幸二は頷いた。
颯希は「もしかして怪しい組織が住みだしたってこと?」と聞いた。
ハルヒは苦笑して
「そんな怪しい組織なら態々存在を知らせるように道の駅に野菜とかそういうものを売りに来ないだろ?」
といい
「でもそれなら貴方自身が調べれば」
と告げた。
那須幸二は息を吐きだし
「収益管理は…本来の俺の仕事とは全く関係ない」
と言い
「那須家の仕事だ」
中部全域の管理
とハルヒを見た。




