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名探偵の系譜  作者: 如月いさみ


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疑惑 その15

それに男性が頭を下げて

「俺が…やりました」

と告げた。


ハルヒは男性に

「一つ聞いていいかな」

と告げた。

「名前と会社を」


男性は頷いて

「名前は田端修三でこの先にフロアがある高嶋株式会社で事務を」

と告げた。


颯希はメモを取った。


今野牧夫は田端修三を見ると

「ビルの修繕費は出してもらう」

それからAIシステムの方には報告する

と告げた。


田端修三は頷いた。


今野牧夫は颯希とハルヒを見ると

「犯人を捕まえてくれて感謝する」

AIシステムに報告しておくので

と告げた。


田端修三は修繕費を払うと直ぐに称号変更をした。

そして今住んでいる場所を引越ししたのである。


会社の運用やビルの運用自体には影響を与えていないのでペナルティはなかった。

一歩間違えば大変な事態になっていたのだが…人がしんだかもしれないのだが…。


颯希はハルヒに勧められて田端修三の会社の書類作成者データとレベリング用報告データの精査をAIシステムに依頼したのである。


田端修三が言っていた書類をいくら作っても隣の人物ばかりがレベルが上がるという言葉にハルヒが引っ掛かるといったからである。


AIシステムからは会社の報告データと書類作成者データの乖離が激しかったので調査ロボットを送ったところ懇意にしている人物に良い点数をつけそれほどでない人物の点を減らして整合性を取っていることが判明したために報告者にペナルティがつくことになったのである。


颯希は鷹取アパートへ戻って数日間貫徹だった影響もあって二日ほど爆睡し三日後の朝にハルヒから

「レベル上がっていたよ」

と言われた。


窓から明るい朝日が射し込み颯希は寝ぼけながら小さく頷いた。

ただ。

ただ。

田端修三のことを思い出し

「今まで疑問を持たなかったけど…そうだよね」

いま自分で選択しているように見えるけど

「本当はAIシステムが決めた道以外に歩けなくなってる」

人がまるでAIシステムの指令で駒のように動く場所へと配置されているだけのように思える

「それでいいのかな?」

と呟いた。


自分で決められない自分の人生。

だからこそそこで行き詰ると極端な行動に走ってしまうのかもしれない。


颯希は立ち上がり洗面所へ向かいながら

「それが幸せなのかな?

いや私にはAIシステムがそんなことを考えているように見えないけど

と呟いた。


その日の午後。

鷹取アパートに一人の人物が姿を見せた。

その人物は那須幸二という名古屋市に住む人物であった。


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