疑惑 その13
男性は慌てて
「や、やめろ!!」
起爆スイッチが入ってたら!!
と手を伸ばした。
颯希は爆弾を手にすると秒を打つタイマーを見て
「あと6秒って!!」
逃げる時間考えてないヤツー
と叫んで窓の外へと投げた。
ハルヒがエレベーターから降り立って
「二人とも窓ガラスに気をつけろ!」
と叫んで窓の下へ滑り込んだ瞬間に窓の外で爆弾が破裂した。
ドンッと音がした瞬間に窓ガラスが割れ、空間が一際明るく光った。
颯希はそれが収まると
「…た、すかった」
とがくがくと震えた。
ハルヒはすくっと立ち上がると男性のところへ行き
「ボヤ騒ぎは貴方ですね」
と告げた。
男性はがっくりと肩を落として
「元々、俺は事務職に向いていなかったんだが…推奨でできると思えたものが事務しかなくて低級事務を選んだが…称号レベルが上がらないし事務職を離れるわけにもいかなくて…」
と顔を伏せた。
「このまま…一生事務職以外できないと思うと」
職場が無くなればと
颯希は男性を見ると
「だけど、こんなことをしても何も変わらないし」
貴方が更につらいことになるだけだと思う
「まして他の人を巻き込むなんて」
と告げた。
確かに称号を変更するというのは大きなペナルティを背負い、今までの全てを失ってしまうことになる。




