疑惑 その12
颯希は心の中で
「確かに!」
と叫んだ。
「猫くん…」
そう颯希が言った時にハルヒが画面を見て
「動いた」
と9階の廊下のカメラ映像を指した。
颯希は目を見開きスッと立ち上がった。
「猫くんは画面見ながら状況を教えて」
ハルヒも頷いて立ち上がりかけたが動きを止めると
「わかった」
と答え、座り直した。
颯希は急いで9階へと上がった。
ハルヒは画面を見ながら颯希に携帯で指示を出した。
「階段を登ったら右手だ」
給湯室にいま入ってる
颯希は階段を駆け上がりながら
「了解」
と答えた。
そして、颯希が9階の手前に来た時にハルヒが慌てて
「いま給湯室から出てきた」
気をつけろ
と告げた。
颯希は9階の踊り場で立ち止まると廊下にでは出ずにそっと壁に背をつけて廊下を覗き込んだ。
窓から月光が射し込み闇の中に人影を浮かび上がらせる。
背の高い男性のようだ。
ハルヒはカメラの映像から
「手に何か持ってる」
もしかしたら何処かのフロアに直接仕掛けるつもりかもしれない
と告げた。
颯希は頷いて足を踏み出すと足早に近付き
「そこまで!」
と叫んだ。
男性は振り向き颯希を闇の中に見ると舌打ちして踵を返すと逃げ始めた。
が、颯希は飛び掛かると
「逃がさない!」
とタックルをかました。
ハルヒは腰を上げると
「まずい!」
と叫んで部屋から飛び出した。
男性も手から離れて飛んで行ったものを見て
「あぁ!」
と叫んだ。
「爆弾が!!」
颯希は蒼褪めて
「うそー!」
と叫び、立ち上がって爆弾の方に走った。




