疑惑 その11
颯希はハルヒに同意を貰い安堵の息をつくと
「だから、ペース的に行ってこの一週間以内に実行すると思う」
恐らく9階だと思うけど
「一応、9階以上にカメラをつけてもらって異変があったら駆け付ける」
と告げた。
ハルヒは笑むと
「了解」
じゃあ、そうしよう
と告げた。
「颯希の作戦第一弾だな」
颯希は頷いた。
二人はその日から昼間はホテルで泊まり、夕方からビルへ行って取り付けたカメラの映像を見ながら待機することにしたのである。
一日目。
二日目。
極々普通の状態であった。
定時になればそれぞれの会社のフロアから社員は帰宅し静寂がビルを包み込んだ。
颯希とハルヒはそのシンと静まり返ったビルの8階のフロアで各階の画像を見つめた。
三日目である。
颯希は息を吐きだすと
「もしかして、勘違いだったかな」
と呟いた。
推論自体が間違っていたかもしれないとフッと考えたのである。
ハルヒはそれに苦笑すると
「たった三日で」
と告げた。
「一か月で4回と考えれば感覚的に一週間に一回だろ?」
まああと一か月なければ考え直し程度でいいさ
「起きないことに越したことはない」
颯希は目を見開いてハルヒを見た。
案件を取ってくる早さなどを考えるとテキパキとスピード感を大切にするタイプかと思ったのだが意外とノンビリなのだ。
ハルヒは颯希の視線を受けて
「探偵って根気が必要なんだ」
情報収集
「推論がいつも当たるわけじゃない」
そうしたらまた一から見直し
「それに犯人が何時動くかなんて犯人の胸先三寸だろ?」
もちろん状況が状況の時は嵌めるときもあるけどな
と告げた。




