疑惑 その9
知識が必要な部分ではなく考える部分だ。
だから、考えさせる必要があるのだ。
これから探偵として生きていくためには。
颯希は腕を組んで周囲を見回した。
そして、冷蔵庫の隣の棚にある食器やタオルを見て
「もしかして…テストをしていてここで火災を本当に起こしたいわけじゃなかったとか」
と呟いた。
それに今野牧夫は驚いて
「ええ!?」
な、何故?
と聞いた。
颯希は棚を見て
「あそこにタオルがありますよね?」
もし本当に火災を考えているならあのタオルを利用した方が確実だし効率的だと思います
「犯人は生石灰の上に紙を乗せて火を広げることも考えていました」
それだけの知識をもっていた
「けれどタオルは使わなかった」
と告げた。
「考えられることは火事が起こってもいいが本気ではなかった」
そう言って、今野牧夫に
「次の場所へお願いします」
と告げた。
次の場所は地下の設備室の前であった。
壁と廊下と周辺が黒く焦げていた。
設備室の壁も歪んでいる状態で今野牧夫が
「明後日に修理に来ます」
中の機器に全く影響がなかったのが助かりました
と息を吐きだして告げた。
その次は駐車場の隅であった。
そこは壁に沿って焦げ跡があり天井も少し黒ずんでいた。
今野牧夫は肩を竦めて
「火災警報器が鳴ってスプリンクラーで消し止められましたが」
その後で設備室でから
「ここには新聞が積んでいました」
それが燃えました
と告げた。
最後はゴミ置き場であった。
そこは屋外にあって焦げ跡ももうなかった。
ハルヒは心の中で
「なるほどな」
と呟いた。
ある程度の予測が立ったのだ。




