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疑惑 その8
熱くも温かくもなく熱量は感じられなかった。
ただ思っていた以上に脆かった。
手に掴むとボロボロと粉になったのだ。
颯希は目を細めると
「これは」
と呟いた。
ハルヒも横に立って覗き込みながら
「恐らく生石灰かも」
と呟いた。
颯希は顔を向けると
「生石灰?」
と聞いた。
ハルヒは頷いてその周辺でボロボロと落ちている灰を手に
「恐らく生石灰の上に紙を置いてタイマーと発火した時の延焼用の材料にしたんだと思う」
と告げた。
颯希は「…そうなんだ」と呟いた。
「でもシンクの中で?」
何で?
そう考えて腕を組んだ。
もし本当に火災を起こそうと思えば他にもっと小売りの良い方法があったはずである。
シンク自体延焼に適していない場所である。
金属出てきていて箱型だからである。
ハルヒは颯希を見て
「そうだね」
と答えた。
ハルヒから見れば恐らくは
「テストだろうな」
と言うことである。
生石灰については元々知識がなければ答えに辿り着けない。
なので、助言したが『何故シンクで行ったか』については犯人の行動の考察だ。




