疑惑 その3
颯希とハルヒが暮らしているのは片田舎の端っこにあるぼろったの鷹取アパートで目の前は雑木林でその向こうは海という出雲市の中で辺鄙も辺鄙なド辺鄙な場所であった。
2人以外にあまり人の姿を見ることができないのだから極めつけである。
彼女は途中のスーパーで食事の材料を買い込み、その後に30分ほどかけてアパートへと戻った。
二階にある部屋の戸を開けると
「ただいま」
と中に声をかけた。
中からパタパタと足音が響いて妻越ハルヒが姿を見せた。
「お帰り」
颯希はにっこり笑うと
「ただいま」
と答え
「とりあえず夕飯の準備するから」
今日はハンバーグ
と告げた。
ハルヒは笑顔で
「ありがとう」
と答え
「俺からも…仕事の依頼受けたから」
と告げた。
颯希は目を見開くと
「え!?本当に??」
と聞いた。
ハルヒは得意気に笑むと
「もちろん」
と答えた。
その実、颯希が探偵の称号に変えたのは3年ほど前だ。
ハルヒと出会う前は依頼をゲットすることすらできなかった。
先日の妻越ハルヒが受けてきた依頼こそ颯希にとって初めての事件だったのだ。
それで漸くレベル2になった。
正直に言うと妻越ハルヒがいなければ恐らく解決もできていなかっただろう。
颯希はトホホと
「ヤバい…もう、おんぶにだっこだわ」
と思わず自分に突っ込んだ。




