疑惑 その2
子供はAI政治システムの下で3歳になると親ではなく養育施設で育てられる。
なので、本来なら親から何かを引き継ぐことなどできないのだが、お守りという形でひっそりと引き継がれていたのだ。
三歳児適性検査で学問か運動かの称号に振り分けられて教育されていく。
颯希は学問の称号だった。
それから十三歳適性検査で仕事の称号を得る。
事務や営業や経営などだった。
颯希も初めは上級経営だった。
その頃は使えるお金も多くあり、住む範囲も広かった。
しかし、それを探偵の称号に変えた途端に縮小された。
つまり推奨があってそれを選ばなかったら…いまの颯希のように人生つまはじきとなる。
レベリング支援がなく正にド貧乏生活だ。
それは金銭と言う概念が無くなり使用金額と居住場所選定があってそれが称号とレベルでAIシステムによって決められるからである。
使用金額以上は使えないようになっているのだ。
また居住場所も決められた場所以外は住めなくなるという事だ。
田舎町の更に郊外の端の端…そこが今AIシステムによって彼女が与えられた場所である。
レベル2になったので使用金額が増えた。
そして居住場所も少し緩和された。
颯希はタブレットの画面を眺めながら
「猫くんのお陰なんだけど」
でもAIシステムが決めたことに疑問を持ったことはなかったけど
「本当に…これが正しいのかな」
とぼんやりと呟いた。
そして、彼女が帰宅すると次の依頼を妻越ハルヒが持って帰ってきていたのである。




