名探偵の血 その12
颯希はメモに取った。
ハルヒは竜野ナナコに
「3人の前に来なくなった人物の名前と住所をお願いします」
と告げた。
颯希ははっとするとペンを構えた。
2人は竜野ナナコから情報を聞くと先に先に来なくなった人物の家へと向かった。
その人物は結局行方不明のままで家も放置状態であった。
近隣の人々も先の3人と同じく知らないということであった。
しかも興味がないという雰囲気であった。
颯希はハルヒを見ると
「つまり、カナリヤ…本名が笹谷さやかの顧客が順々にいなくなっているってことだよね」
と告げた。
ハルヒは静かに頷いた。
2人は滝野ナナコから聞いた笹谷さやかの家へと向かった。
彼女の家は出雲市から列車で二駅ほど離れた武志駅から川側に向かった住宅街にあった。
2人はその家の前に立ち息を飲み込んだ。
大きな洋館で広い庭に多くの木や花が植えられている。
所謂豪邸である。
2人はインターフォンを押して彼女を呼び出した。
目のぱっちりとした髪の毛の長いかわいらしい系の女性であった。
彼女はにこやかに
「はい、なんですか?」
と告げた。
それに颯希は
「神田隆さんに三井和也さんに青山昭二さんの3人の行方をさがしているのですが」
知りませんか?
と直球できた。
彼女はにっこり笑うと
「さあ知りませんけど」
と答えた。
ハルヒは横から
「3人ともおねーさんのスナックでの上客だったと思うけど」
とぴしゃりと告げた。
颯希は頷いて見つめた。
笹谷さやかは笑顔で
「ああ!そうですね」
お客様が多すぎて忘れてました
と答えた。
ハルヒは慌てて
「あのー、トイレー!」
と告げた。
笹谷さやかは嫌そうに
「ごめんねー、今お手洗いは工事中なの」
と閉めかけた。
正にいれない。と言う意思表示である。
が、ハルヒはぴゅーと脇をすり抜けて突っ込み
「お手洗い借りまーす」
とトイレを探した。
笹谷さやかは「ちょ!」と踵を返してハルヒを追いかけ始めた。
颯希は苦笑すると足を踏み入れ
「彼が足止めをしてくれていたら、私も助かる」
と言いうと中へと入って聞こえてくる物音に視線を向けた。
部屋は大きく綺麗で絵画などの付加価値もすごかった。
「これは1000万は超えるな」
ハルヒは呟き、追いかけてきた笹谷さやかに
「すごいねー」
でもお姉さんのレベルで買えるものじゃないよね?
と告げた。
さやかは先ほどの笑顔とは全く違う裏の笑顔を見せた。
「本当に…いやなガキね」
そう言って笑顔のままハルヒに蹴りを食らわせようとした。
ハルヒは彼女の突然の蹴りを避けると
「こわっ」
と言い、目を細めた。
「それが、貴方の顔なんだ」
本当の
さやかは笑みさえ消し去りハルヒを見下ろした。
「何が悪いの?」
この家もこの絵画だって全て私にあってるでしょ?
「可愛くて綺麗で…最上級接客の私に」
ハルヒは息を吐きだして
「貴方以上に綺麗な人なら俺たくさん知ってるし」
貴女の行為はAIシステムのペナルティ対象になるよ
と告げた。
さやかはくすくす笑うと
「ならないわよ」
とハルヒを掴まえようと手を伸ばした。
「だってちゃんと売り上げ上げているし」
出勤もしているんですもの
それに背後から颯希が助け出してた青山昭二を連れて
「なるわ」
他の会社の人間を本人の意志関係なく奪ったことはペナルティに値する
と告げて
「まして、人を縛り無理やり自分の欲しいものを買わせてその後に殺して埋めるなんて…青山さんが全て話してくれました」
と告げた。
「絶対に許せない」




