第五話
幸せに、なってくれただろうか。
私のことなんて、忘れてもいいから。
あなたが、幸せになってくれれば、私はそれでいい。
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彼女は、幸せだったのだろうか。
僕のために生きて、死んだ。
その彼女は、幸せだと感じたのだろうか。
その問いはわからないが、ひとつ。
決して、誰も望まない死だったと。
それだけは言えただろう。
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日野 太陽様
いよいよ寒くなってきました。そろそろ夢も叶い、幸せな、それでいて平凡な、僕にぴったりの生活がやってきます。あなたは、お元気ですか。
あなたにいただいた黄ばんだ紙は今も持っています。
今の妻のことを考えれば、ない方がいいのかもしれませんが、それでも、あなたは僕のことを支えてくれた。
こういう言い方をすると、不謹慎になるかもしれない。
でも、いつも思ってるんだ。
君に照らされて。今日も生きてるよ。
敬具。
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日野 光留
内 日野 佐久良
最後まで、読んでくださりありがとうございました。
今回は、残された側の気持ちと、去っていく側の気持ちというかなり、複雑なテーマです。
でも、このテーマは生死のみに限る話ではないと思います。
教育の現場や、人間関係においても、深く関わっていると思います。
お互いが気を遣っているから。お互いが、無意識だから。
そんなことがあるのではないでしょうか。
あなたの人生観に大きな影響を及ぼす作品になれたなら、これ以上のことはありません。
読んでくださり、ありがとうございました。