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ルドルフの想い

読んでいただきありがとうございます。

 マーガレットは十五歳になった。貴族学院の最終学年だ。前世でも頭が良かったらしく、この世界の勉強は簡単だった。しかし、油断をするとどこで足をすくわれるかもしれない。対策のため勉強はしっかりとした。


今年ルドルフが入学したので学院生活はより楽しいものになるだろう。ルドルフはとても頭がいいらしく入学試験でトップだった。入学式で新入生代表で挨拶をしていた。堂々としていてマーガレットは自分のことのように誇らしくなった。


式が終わるとルドルフがマーガレットのところに飛んで来た。身長が高くなりマーガレットを追い越しかけているのに、子犬が喜んで尻尾を振っているようで微笑ましくなった。周りがざわめいている。


「入学おめでとう、ルド」

「ありがとう。マーガレット。お祝いはこれから僕とお出かけだよ、忘れてない?」

「忘れるわけないわ、どこへ行きたいか考えた?」

「黙って付いてくる約束だよ」



ルドルフはマーガレットの手を取り馬車までエスコートした。馬車の中で二人になったので

「婚約者でもない、ただの幼馴染の手を取るなんていけないわ。周りに誤解をされるでしょう」

「したい奴にはさせとけばいいんだよ。僕は婚約者に思われてもいいけど、あっマーガレットの評判に傷がつく?」

「そんなことはないわ、私達が幼馴染だってほとんどの人が知っていることだし、ルドのこれからが心配になっただけ」

「いつもそうやって僕のことばかり気にする。貰い手がなかったら僕と結婚すれば良い。マーガレットなら両親も大賛成してくれる」

(ルドは三年生の時に編入して来るヒロインと恋に落ちるのよ。出来るわけないわ)胸が苦しくなったマーガレットだ。



やって来たのは王都で人気のカフェだった。渋みのあるグリーンの外壁に更に濃いグリーンの屋根、窓枠は屋根の色と同じ深いグリーンでシックな感じにしてありお洒落だった。

内装も天井は高く席の間も広く取ってある。観葉植物が飾られ落ち着ける空間になっていた。


お互いにパンケーキと紅茶を頼んだ。三段重ねで季節の果物が溢れんばかりに乗せてあり、生クリームが横に添えられ、シロップが別のピッチャーにたっぷり入っていた。店員が去って行くとさっそく頂くことにした。


柔らかい生地が果物の甘さと生クリームを包み込むように口の中で合わさり溶けていった。思わずニッコリしてしまうマーガレットとルドルフだ。

「マーガレットは卒業したらどうするの?まさか結婚するとか言わないよね、才能豊かなんだからもったいないよ」

自分以外と結婚して欲しくないルドルフは予防線を張った。



「まだ、結婚はしないわ、お父様も暫くは家の手伝いをして欲しいとおっしゃっているし、ここでは話せないけど水魔法の他にも使える魔法があるのがわかったの。その練習をするつもりよ。ルドは何を学ぶの?」

「僕はこの一年で全教科を終わらせ、飛び級で卒業をする。マーガレットのいない学院なんて通っても仕方がないからね」


そんな事をしたらヒロインと出会えなくなるじゃない。そう言いたいが頭が可笑しいと思われるだけなので黙っているしか出来ない。


「ルドって天才だったのね、五歳くらいで何でも理解できてたものね、納得だわ。入学したのは高等科を卒業をしたという実績が欲しかったのね。六年分を一年で終わらせるのは流石に大変じゃない?」


「入学したのはマーガレットと学院生活を過ごしてみたかったからだよ。勉強は大丈夫、家でも勉強して殆ど頭に入ってるし、知らないことは読めばすぐ頭に入る。周りの子に話題を振っても付いてこれない奴ばかりで面白くなかったけど、マーガレットだけは違った。打てば響くように会話ができて楽しかったんだ」

それはそうでしょうね。前世の記憶でかなり助けられ、勉強も余裕だもの。


「驚いたけどルドがやりたいようにすればいいと思う。ルドは十歳から氷魔法が使えたわよね、魔法で氷が作れるのって便利よね」


「ゼリーを作る時に凄く役立っている、マーガレットのお陰で名産になったよ。安定した財源があると領民が飢えなくてすむからありがたい」


「元々ワインが素晴らしい物っだったじゃない、王室御用達だもの」

「そうなんだけどね、持ち駒は多いほうがいいじゃない。評判がいいんだよね。カフェでも取り扱ってくれているし。マーガレットにも報酬の一部が支払われていて良かった。自分の所だけ儲かるなんて許せない」

「そんなに気にして貰わなくても良かったんだけど。でも自分の資産があるのは嬉しい、将来どんな事があるかわからないもの。この一年で卒業するんだったら、とても忙しいわね。ランチ一緒に食べられる?」

「毎日一緒に食べてくれないと嫌だ。お互いにお弁当を持ってきて料理の交換をしよう、夢だったんだ」

「ふふ、随分具体的なのね」

「マーガレットと一緒の学院生活、色々憧れがあって楽しみで仕方なかったんだ。笑わないでね。そのうち飛び級でマーガレットのクラスに編入するつもりだから楽しみにしててよ。同じクラスなら牽制も出来るしね」

「何か言った?」

最後の方がよく聞こえていないマーガレットだ。


「これからもう一箇所行きたいところがあるんだ、いい?」

「お祝いの日だものいいわよ」

連れて行かれたのは宝石店で、お揃いの金のブレスレットが並べられた。

「ここでプレゼントをするのは私じゃないかしら?買ってもらったのではお祝いにならないわ。お願いだから贈らせて」

「贈りたかったんだけど、お揃いだからいいってことにするかな。今度は僕がプレゼントするからね」

拗ねたようにルドルフが言った。細くキラキラと輝くブレスレットが笑っているようだった。


「これから着けるわ、ルドも着けてね。」

「お互いに着け合おう。お揃いだね。嬉しいな。急だけどこれからマーガレットのところでオセロしたいな、いい?」

「負けないわよ」

「ああ、受けて立つよ。それでこそマーガレットだ」

天才のルドと経験者のマーガレットは最初こそマーガレットが勝っていたが、今では歯が立たなくなっていた。それでも時々マーガレットに軍配が上がる。負けても立ち向かって来る姿に惚れ惚れするルドルフだった。



オセロは前世で有名なゲームだ。白と黒の駒で勝負ができる。紙に書いても出来るので最初は兄を相手にやっていたが、貴族らしく硝子に色を付けて高級感を出してみた。台座はツルンとした石に縦横に線を引いた物にした。お父様が紳士クラブで広めてくださって、貴族の遊びとして広まり国内全体にシェアが広がった。



複写機、冷蔵庫、オセロ、ゼリーのレシピ全てがマーガレットのアイディアなので利益の二割が個人資産として入ってくる。対外的には父が代表の商会が作り出したことになっている。マーガレットの身の安全のためだ。





十五歳になったマーガレットに現れた新しいチート能力は嘘を見抜く力だ。これこそ国家的に利用されるかもしれない。侯爵家は徹底的して秘密を守ることにした。

たとえルドルフでも例外ではない。

但し能力はマーガレットが意識を開放しなければ発動することはないので普段は使わなくても構わないのだ。


エディは 妹に次々と現れる能力に不憫さを感じていた。益々動きが取りにくくなるだろう。その時には自分が守ってやらなくてはと思っていた。


誤字脱字報告ありがとうございます。助かっています。

誤字報告で気が付いたのですが、ルドルフが天才ぶりを遺憾なく発揮し高等科卒業までの六年分を一年で済ませてしまうという記述が抜けていました。(マーガレットも六年間通うと思っていました)大変申し訳ありませんでした。気付かせてくださりありがとうございました。一箇所表現を編集しました。

この場を借りて感謝を伝えさせて下さい。ありがとうございました。

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