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チート 1

お読みいただきありがとうございます。

 ルドにお願いをされ見取り図の書き方を教えてあげた。自分の屋敷も書いてみたいのだそうだ。男のロマンだとかなんとか言っていたけど、私の立場はどうなるのかしら。


お父様に見取り図を渡す時にコピー機があればいいのにと言ったみたいで、何のことかと尋ねられ、複写機のような物があればいいなと考えましたと答えた。

この世界は魔法があるようで、お父様はそれを具現化してくださった。

仕事の出来る男って素敵。ファザコンになりそうなマーガレットである。

複写機はブライス侯爵家の専売になりやがて王国全体に浸透していった。


お陰で領地は潤い、飢える民がいなくなった。

税率が引き下げられ、道路の整備に使われて、物流にもいい影響が出た。

市場が活気づいてきたのである。勢いのいい街は他所からも注目を集め人が多く集まるようになった。宿が増え、飲食店も増えた。


そのために騎士団は更に優秀な人を集めて、街の警護に力を入れた。犯罪の抑制のためである。ブライス領はとても治安のいい場所になった。





淑女教育の息抜きにお菓子作りを始めた。厨房の端っこで料理長に材料を揃えて貰いチョコレートケーキを作った。卵やバター砂糖がきちんと計ってあったので混ぜたりするだけだ。オーブンに入れるのは料理長にしてもらった。火の加減が危ないからと近寄らせてももらえなかった。当たり前だわ。



お嬢様の遊びに付き合わせて申しわけないと思ったけど、焼き上がる時の甘い香りがたまらなく嬉しかった。焼けた物を冷ましてお父様の執務室に届けたらとても喜んでいただけた。いつも甘いお顔がさらにゆるゆるになって、もう七歳になったのに抱き上げられて頬にキスしてもらった。


お母様とお兄様にもお茶の時間に召し上がっていただいた。

「美味しいわ、娘の手作りを頂けるなんて幸せ」

「僕も妹の作ったケーキが食べられるなんて思っていなかったよ」

「料理長にほとんどしてもらって少し混ぜただけです」


にこにこしてそう答えたら「可愛い」とお兄様に抱きしめられた。これが私がルドに感じている「可愛い」と同じなのね。お兄様の気持ちがわかった気がした。

今度ルドにも作ってあげよう。


二人のお茶会で手作りケーキを出したらルドの綺麗な顔がぱあっとはなやかになった。

「マーガレットが作ったの?凄いね、美味しいよ」

「ほとんどが料理長が作ったんだけど、少しは手伝えたから作ったと言っていいかなと思って」

「こんなに美味しいケーキ初めてだ。最高だよ」

「ルドってば、褒めすぎよ。つけあがるわよ私」

「また作ってね、約束だよ」

コテンと首をかたむけておねだりをするルドは、天使のようだった。



みんなに褒められてマーガレットはお菓子作りにはまり腕を上げていった。




ウインザー伯爵家は葡萄を名産としていた。ワインが有名で王室にも献上している。いつかお礼として贈られたのは極上品だ。葡萄ジュースも作っている。

今日のお茶会のお土産はジュースだった。数本が綺麗にラッピングをされて贈り物とされ、残りの数ダースは厨房に運び込まれた。


マーガレットも兄のエディも濃厚で甘いこのジュースが大好きだった。この美味しいジュースでお菓子を作りたいと思ったマーガレットはゼリーを思い出した。この世界にゼラチンはあるのだろうか?なければ寒天はないかしら。


寒天は海藻の天草から作られるんだった。それなら手に入るかもしれない。

ツルンとした舌触りを思い出し食べたくなってしまったマーガレットだ。

早速料理長にお願いをしてみた。なんとゼラチンがあったのだ。前世の記憶では中世ヨーロッパのオランダで出来ていたはずだったが、この世界にあった奇跡に感謝した。



面白がった料理長はゼラチンの配合を考えてくれた。最初は安いジュースで試しいよいよになってからウインザー家のジュースで作った。天然の氷で冷やし固めた。目の前にぷるんとしたゼリーを出されたときには嬉しくて料理長の手を取ってしまった。


「お嬢様、味見をお願いいたします」

「ありがとう、頂くわ、うーん冷たくて美味しいわ。甘さもちょうどいい」

「お嬢様の発想には驚かされます。これを料理にも活かしたいのですが、どうでしょう?」

「料理長に任せるわ。美味しいものは大好きだもの。このゼリーお食事の後に出してもらいたいの。いいかしら?」

「もちろんでございます」


ごめんなさい、中世の誰かさん。私の発想ではないんだけど褒められたので許してね、と心の中で謝るマーガレットだった。


ゼリーは家族で美味しく頂いた。もちろん厨房の皆も味見はしている。

ブライス家のメニューの中にゼラチンで固められた物が増えていったのは嬉しいことだった。


ぶどうゼリーはルドルフとのお茶会でも出された。

「わあ、家のジュースがこんなに可愛くなったの?冷たくて美味しい」

ゼリーの型はドーム型にしてもらった。今後は動物の型も作るつもりだ。

「これを持って帰ってお母様達に食べさせてあげたいな。家のジュースがこんなスイーツになったよって教えてあげるんだ、マーガレットいい?」

「もちろんいいわよ、ルドのところのジュースが美味しいから出来たんだから」

「こんなことを思いつくなんてマーガレットは凄いよ」

少し後ろめたいマーガレットだ。



葡萄ゼリーを名物として売り出してもいいかと伯爵家からお父様に問合せがあったらしい。葡萄ジュースが元で考えたことだったので快く了承した。料理長のレシピも付けて渡してあげたら喜ばれた。料理長にはボーナスが出たらしい。


冷やすのが大変だろうなと思ったが、そこは伯爵家が考えればいいことなので

マーガレットは考えるのをやめた。







誤字脱字報告ありがとうございます。感謝しております。

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